9時28分に雷発生のために競技中断のサイレンがコース内に鳴り響いた。そのとき、川村昌弘(福井工業大学附属福井高校3年)は、スタートを間近に控えてパッティンググリーンで調整を行っていた。時間がたつにつれて強くなる雨。時折聞こえる遠雷。まんじりとしない時を過ごしながら、静かに天候回復を待っていた川村だが、天候回復が見込まれずコースコンディションも不良のため、12時に第3ラウンドの中止が決定した。「今日は、やりたかった」インタビューを受けた川村は、そう呟いた。第1ラウンドにコースレコードを更新する65。第2ラウンドも自分の納得がいくプレーをしていたから、なおさらその思いは強い。しかも、最終ラウンドは
、JGAナショナルチームメンバーとして国際競技とともに戦ったこともある加藤龍太郎(岡山作陽高校3年)との同組で「いつか一緒にプレーしようと話していた」2人の思いが現実となったのだから。「今からでもプレーしたい」というのは、本心からだろう。
今年の川村は、決して順風満帆とはいえなかった。優勝を目標にしてきた日本アマでは、よもやの不出来でマッチプレーに進出することも出来なかった。「今年は日本アマ、日本ジュニア、日本オープンを目標にしてきた。JGAのタイトルはどうしても獲りたかったので。日本アマで失敗してしまって…でも、成績が悪かったことがきっかけで、良くなった。これからも、あの日本アマでの経験が良い方向に向かうように頑張りたい」と、語る。
最後の日本ジュニアで初優勝。この自信を胸に日本オープンに臨み、来年はツアー出場を狙う。そして、「将来的には世界中のツアーを回ることを目標にしたい」と話す。「夢」ではなく「目標」。その言葉の違いは、大きい。今年目標の一つはクリアした。川村は、その次の目標に向かって、一歩を踏み出した。
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