稲見萌寧(長太郎)は世田谷区立東深沢中学校に通う3年生だ。ゴルフを始めたのは小学校4年生のとき。連れて行ってもらった練習場で初めてクラブを持ち、ボールを打った。
「一度も空振りがなかったんです。1週間ぐらいして、ボールを打つのが楽しくてゴルフにはまりました。将来はプロになろうって、真剣に思いました」。
その秋にはプロコーチにレッスンを受けるようになった。進学すると、さらに本気モードに突入して練習のための環境として千葉県がいいということで、マンションの部屋を借り、週末には「10時間はボールを打つ」という生活をはじめ、現在でも続けている。
中心になる練習メニューは「腰から腰までのスウィン
グで打つこと。ビジネスゾーンというらしいですが、とにかく、その幅でボールをしっかりととらえて打ち抜くことに一番長く時間を割いています。ええ、それは、今も変わりません」。この練習で稲見はアイアンショットが得意になったという。それもコントロールショットに自信を持っている。
クォリファイング第1ラウンド。ドライバーショットが荒れた。得意のアイアンショットでうまくカバーして69のスコアだったが、ホテルに戻ってコーチに電話でアドバイスを求めた。
「“その症状が出ているということは、アドレスでボールの位置がずれているのだと思うよ。チェックしてごらん”と教えられて、翌日(第2ラウンド)コースのドライビングレンジでボール位置を直すと、すっかり復調しました。面白いように狙ったところにイメージどおりに打てるようになって、その後は、本当に楽しいゴルフが続いています」。
ハウスキャディーとの息もピッタリでグリーンでは、キャディーの言うとおりのラインに打ち出すと、これが決まる。マッチプレーの1、2回戦。稲見のゴルフは、相手のミスでホールをとるのではなく、バーディで価値を奪う展開になっている。2回戦では、4バーディで3upとして迎えた16番(パー3)のドーミーホールでも188ヤードを7番ウッドで2メートルにつけ、これを決めるバーディで三ヶ島かな(茜)を下した。
ただひとりの中学生ベスト8。ショット、パットともに絶好調だという稲見は、台風の目となってまだまだ暴れそうだ。
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