「いやー、ホッとしました。昨日(第1ラウンド)は、まったく操縦不能だったんですよ」と鈴木亨は、ホールアウトするなり、インタビューでの開口一番が、その言葉だった。操縦不能とは、ショットが定まらず思うようにいかないことだ。「でも……。そんな中で昨日、パープレーで回れたことが奇跡だと思いました」と付け加えた。その奇跡的なゲームマネージメントで繋いでパープレーで回れた勢いが、今日(第2ラウンド)の3アンダーパー、69のスコアを呼び寄せたのかも知れない。
シニアルーキー。勢い、気負いとやる気満々のシニア新人。でも、概してそこに落とし穴がある。鈴木の「操縦不能」の原因も、そのあたりにあった。
「自
分がこうやって振りたい。そうすれば、こういう球筋がでて、こうなる。というイメージがあるとすれば、それになかなか体が反応しない。ついてきてくれないんですね。だから操縦不能になる」というコメントが、その落とし穴の原因である。鈴木は、その折り合いをつけながら「うまくバーディにつなげられた」と言った。
「シニアで戦っていくには、ふたつの選択肢があると思うんですね。ひとつは、速球投手から、変化球を駆使した投手に変わっていく方法。もうひとつは、自分の体力をうまく維持し、トレーニングをして、うまく攻めていく方法。僕の性格からすれば、絶対に後者だと思うんです。それは、まだレギュラーツアーにもチャレンジしてみたいという欲があるからなんです」と語ってくれた。
鈴木は、1番をボギーとしたあと、6、8、9番でバーディを奪った。2メートル前後の距離と、9番では、8メートルを沈めてのバーディだった。後半も、3バーディ・2ボギー。これも攻める気持ちを緩めなかった結果なのだろう。
2日間、鈴木は青木功を同じ組でプレーした。「レギュラー時代に青木さんと一緒に回った記憶がほとんどないんです。でも、僕が学生の頃、練習していた練習場(仙川ゴルフ練習場)は、青木さんが若い頃に、やっぱり練習をしていたところなんですよ。ですから一緒にプレーができてとても嬉しかったんです。滅多に一緒には回れないですからね。ホールアウトしてから、思わずサインをして頂きました」と、ようやく緊張感がほぐれて笑顔を見せた。
「あと2日間。なんとか手繰り寄せて優勝争いをしたいですね」と、運と持てる技量と粘りを手繰り寄せたいと自分に言い聞かせるようだった。
|