[ 第3日 ]競技報告:塩原義雄 写真:Y.Watanabe / Y. Kawatani
首位タイで最終組スタートだった飯島の前半は、自滅状態だった。「第1ラウンドからパットを決め切れていない状態だったのですが、今日は、それがひどくなってしまって……」。2番で3パット。3番では2メートルのパーパットをはずしての連続ボギー。さらに5番(パー5)でもボギーを叩き、どんどん貯金を吐き出していった。飯島いわく「ぐだぐだしたゴルフ」で9番ホールまでプレーを終えたところでバーディなしの39。
考えても、終わってしまったことは元には戻らない。で、ゴルフのことは考えず、「今の苦しい状況のなかで、どうすれば楽しい気分になれるか」と自分に問いかけ、「そうだ、ものまねでもしよう」。ということで、アニメキャラクターやらFMラジオのアニメっぽいキャラクターの声や口調を、同伴競技者のプレーに影響が出ないように細心の注意を払って、小声で真似しはじめた。「マイメロだよ」「ぼく、ドラえもん」などと、ひとりものまねを続けていき、その合間にショットをするという妙なゴルフになった。その声を唯一人聞けるキャディーをつとめる母親の晴美さんから途中で「気持ち悪いから止めて」とたしなめられるシーンもあったが、ゴルフのことは考えていない、という割りには、いざボールを目の前にすると集中してショット、パットともにまとまりだした飯島に「やりたいようにさせておけ」と、母親も気分をかえて、以降はゴルフについては親子の話題になることもなかった。
後半では11番(パー5)で最初のバーディがきた。14番をボギーにしたものの、15、16番で連続バーディ。ちょっと変わった気分転換法の効果であったようだ。17番(パー3)では、ファーストパットを50センチに寄せておきながら、この“お先に”でいけるはずの距離を外した。「さすがに“これはないわ”と思いましたけど、気分転換してきたおかげで、いつもほどのダメージは感じませんでした」ということで、後半は1アンダーパーの35。2つスコアを落としたものの、通算3アンダーパーで首位タイにとどまった。最終ラウンドに向けては、「明日は、またゴルフモードに戻して、最初から流れを作り出していきます。ひとりものまね、ですか?……それをしないですむようなゴルフをしたいですね」