2000 OCTOBER vol.63
援助や支えがあったからこそ
中部氏のような選手が 生まれたのだ
──昔のようにスポーツ好きの大金持ちがいて、若い才能ある者を伸ばすために『私が面倒を見てやるから思い切りやってみろ』と経済的援助を惜しまない。昨今はそうした風潮は見られませんね。

中部 もうほとんどないでしょう。そうした古きよき時代のゴルフなんて、私がやっていた時代あたりが辛うじて最後じゃなかったかと思います。
それには日本の税制の問題もあろうかと思いますけどね。例えば環境保護団体のグリーン・ピース。あの人たちが世界中であれだけ活動できるのは、欧米の大富豪といわれる人たちが、ふんだんに資金援助をしているからなんです。そんな大富豪が税制の関係で日本にはいなくなってしまった。たとえいても欧米のそれと比べたらスケールが小さくなってしまった。そこが日本のスポーツ界、ゴルフ界にとって不幸な現実になっている。

──となると日本のアマチュア・ゴルフの将来はあまり明るい期待が持てないと?

中部
 期待が持てるか持てないかでなくて、アマチュア・ゴルフはプロフェッショナルを目指すための基礎段階になってしまった。そのことはオリンピックや他の競技を見ても歴然たる事実です。それはそれで時代の変化なのだから仕方ないし、すぐれた才能を持っていても、それがお金に直結しなければその先に進めなくなっている。
要は指導的立場にいる人たちが、その事実を冷静に受けとめて、どのようにサポートしながら送り出せるかにかかっているんではないでしょうか。
将来的には競技者としてゴルフを追求するか、趣味として楽しむかにはっきり分かれていくだろうと思います。
(文中敬称略)


Back
 
閉じる