2001 MARCH vol.65
---ゴルフを楽しむ、ゴルフが好きという言葉を何度となく理事長はお使いになりますが、倶楽部運営のキーワードになっているのでしょうか。
高畑 とっても大切な要素です。そしてそれにプラスして家族、仲間という言葉も当倶楽部を語るうえで不可欠なんです。当倶楽部のメンバー628人のうちご夫婦が95組。さらにそのご夫婦のご子息を加えたらメンバー全体の3分の2を占めるのです。つまり家族で楽しんでいただくための一つの手段がゴルフであり、そこに(神戸GC)集まった家族同士、仲間同士が新たな関係をお作りになり、さらに親交の輪が広がる。ゴルフを中心とした気取らない社交の場が当倶楽部の存在と言えます。
---それが開場以来の伝統であり、今もかたくなにお守りになっている点ですね。
高畑 かたくなに! という表現は誤解を招きやすいですよ(笑)。ある意味では家族的な運営ですが、外部との垣根を高くしているわけではありません。会員の方と一緒にプレーするゲストの方や、どうしても当倶楽部でプレーしたいという方が所属倶楽部からの申込みでプレーされた場合でも、当倶楽部を訪れれば、その雰囲気の中で心ゆくまで楽しんでいってもらいたい。もちろん、私たちも会員の方も、歓迎しています。
---しかし、こうした考え方を理解していないゲストもいるのではないでしょうか。
高畑 服装の問題やプレー中、プレー後のマナーの問題を提起せざる得ないこともありますね。ただし、これはゲストの方だけでなく会員の方を含め、当倶楽部を訪れたゴルファー全員に対し、ゴルフの基本であるマナー最重視をお願いしています。といっても別に堅苦しいものではありません。自分でつくったディボット跡には目土をしたり、食堂では他の方のことも考えたマナーを守ってくださいということだけですから。
---ユニークな競技が多いと聞きましたが。
高畑 アプローチ&パター競技というものがあります。毎年8月に中学生以上の女性たちによって行われる競技です。昔はパットだけの競技でしたが、最近の女性たちは、腕を上げておられるので数十ヤードのアプローチを組み込みました。競技終了後は皆さんで食事会です。また六甲方式のミックス競技なんていうのもあります。それに毎年4月の開場に合わせ(11月16日から4月14日までクローズ)、タウンパーティーを行っています。これはメンバーとその配偶者だけに限定したパーティーです。いわば、今シーズンも“宜しく”という意味の新年会ですね。このパーティーは今年開催して4回目という新しい催しですが、お月見の会は古いですよ。私が生まれる前からやっています(笑)。ゴルフのスタート時間を夕方にして、プレーした後、月を見ながら食事をします。六甲山のクラブハウスから見るお月見は最高です。
---ゴルフのプレーだけでなくこうしたことに風流を感じる方でないと神戸GCの魅力を味わえませんね。
高畑 うちはスコア絶対主義では通用しませんね。パー61ですし、練習場もない。倶楽部対抗にも出場していますがいつも下の方です(笑)。スコアが良かったことを鼻に掛けすぎるといっぺんに嫌われてしまいそうな雰囲気がある。いや皆さん、スコアの話しだけをしている方には興味をお持ちでないんですね。とにかくクラブライフを楽しみたい方。他の方のクラブライフを邪魔しない方なら、当倶楽部はどなたでも会員として受け入れる用意はあります。
---今後の展望をお聞かせください。
高畑 やはり一番頭が痛いのは経営の問題です。古き良き伝統を守った運営を行いながら経営するとなると、今はかなり厳しい時代だと思います。当倶楽部発足以来の考え方に共感していただけるゴルフ好きのゴルファーの方を歓迎することが私の最大の仕事の一つかもしれませんね。グルームさんから始まって先輩達が築き、守り続けてきた雰囲気を次の世代にバトンタッチしていく。それが当倶楽部の理事長の仕事なんです。
---本日はありがとうございました。
 険しい六甲山を開拓してA・H・グルームが4ホールのゴルフ場をつくり上げた100年前。恐らく語り尽くせない苦労を強い意志でリカバリーしながらの作業であったに違いない。しかし、その倶楽部本来の伝統や雰囲気を守り、後世に受け継ぐ作業は100年前の作業に勝るとも劣らない困難な作業であると同時に、光輝く大きな意味を持つ作業であるのだと思いつつ、神戸を後にした。


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