2001 MARCH vol.65
 高度成長によって、民衆化を遂げたゴルフに、待っていたのはバブル経済だった。ゴルフ会員権は急速に値を上げた。また“接待ゴルフ”という言葉も生まれ、スポーツとしての純粋なゴルフのイメージから、“仕事の延長”、“仕事の一部”というイメージに変えられてしまった。大掛かりなプロジェクトとして動き出していたゴルフ場建設は、さらに加速していった。

 そして、バブル崩壊。それまでが夢だったかのような厳しい現実がゴルフ場を、そしてゴルフ界全体を襲った。たちまちゴルフ場は経営困難となり、中にはそれに耐えきれず倒産に追いやられるゴルフ場も出てきたのだ。

 そして、日本のゴルフ100年を迎えた現在。ゴルフ場は生き残りをかけ、また、新たなスタイルへ変化しようとしている。

 今年、オープンを予定しているゴルフ場の大半が、パブリックまたはセミパブリックのゴルフ場。さらに、興味深いのが「株主会員制」という運営スタイルを採用するゴルフ場が見られる点。この「株主会員制」は、ゴルフ場運営会社のプレー権が含まれた株式を所有するというスタイルで、会員は運営会社の経営にも参加できるというのだ。

 また、その大半がセルフバッグを前提としているゴルフ場である。

 さらに、これはここ数年で見られる傾向だが、クラブハウスにスタッフを常駐させず、すべての精算を自動精算機で行っているというゴルフ場や、スループレーを導入しているゴルフ場がある。バブル時にゴルフ場が身に付けてしまった“サービスの偏重”を脱皮し、純粋にゴルフを楽しんでもらうための姿へ変化していると言える。

 もちろん、日本のゴルフの発祥の時に思いめぐらされたメンバーのためのメンバーによる倶楽部をかたくなに守って運営しているゴルフ場も少なくない。

 いずれにしても、あの100年前にグルームやロビンソンがつくったゴルフ場の概念に、近づいているように思えてならないのである。

 ゴルフというスポーツほど、その時代、時代の経済や世相に強く影響されるスポーツはないのである。それにより、その時代に似合った多種多様なゴルフ場がこの100年の間に、日本に姿を現してきたのだ。

 迎える次の100年。これまでの歴史がそのベースとなり、ゴルフがこれまで以上に多くの人々の間で、国民スポーツ、生涯スポーツとして愛されることを期待したい。


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