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2002 MARCH vol.69 |
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USGAのハンディキャップシステムを元に、日本独自のシステムを加えて作られたJGAハンディキャップが制定されてから、すでに20年あまりが経過する。その間、さまざまな議論が繰り返されてきたが、ハンディキャップは全国共通(世界共通)であることが望ましい、という当時からの目的は今も変わらない。
そして、全国同一の規定をもとに査定を行ない、公正かつ均衡のとれたハンディキャップとして、普及させることを目的としている。また、査定されたハンディキャップは全て各ゴルファーの最近の一定期間内のスコアを反映させたものである。ゴルフ競技に参加するうえの基準であり、すべての競技において有効である。
現在、JGA傘下の各地区ゴルフ連盟加盟のゴルフクラブに所属しているプレーヤーはもちろん、各都道府県ゴルフ競技団体に所属するプレーヤー及びJGA個人会員、JGAジュニア会員がJGAハンディキャップを取得できる。その他では、新たに社団法人日本パブリックゴルフ場事業協会に加盟する関東地区以外のゴルフ場でプレーしたプレーヤーも取得できるようになった。
また、関東ゴルフ連盟がいち早く導入した、ハンディキャップ査定システム「G-sys(ジーシス)」が今後のJGAハンディキャップ普及の起爆剤となるに違いない。この「G-sys」のメリットは、まず常に最新のコースレート情報が更新されるということ。そして基本情報を一元管理でき、ネットワーク化もできる画期的なシステム。利用者、ゴルフ場とも、公正・公平なハンディキャップの取得が効率良くできるようになる。この「G-sys」の導入に関しては、今以上に各地区ゴルフ連盟の理解と協力が不可欠である。
とは言え、まだ普及のための第一歩を歩み出したばかりであり、現実はまだまだ遠い道のりがある。一般アマチュアゴルファーのプライベートコンペティションなどでは、仲間うちでハンディを決めたり、ダブルペリア方式を採用したりする場合が圧倒的に多いのが現状だ。各クラブのメンバー、さらには大きな垣根を越えてそれ以外のゴルファーにも認知してもらい、JGAハンディキャップの取得に積極的な参加を促したいと考える。
競技ゴルフ、レクリエーションゴルフを問わず、ゴルフをスポーツとして捉え、誰もが平等に競い合えるという特性がハンディキャップによって支えられていることを、もう一度訴えかけなればならない。
そのような観点からJGAハンディキャップシステムの普及を考えたときに、ソフト面、ハード面での整備、改革が必要となる。
ソフト面とは、つまりゴルファー自身がハンディキャップをどう認識しているのか、という問題である。言うまでもなくハンディキャップとはプレーするときに、その時点の実力を評価する数字であり、決して柔道や剣道の「段」に相当するものではない。
「段」には名誉的な意味も含まれており、一度昇段すれば、その段位から下がることはない。ハンディキャップは、名誉的なものではなく、あくまでもそのときの実力を評価した数字である。適性なハンディキャップ普及のためには、一人ひとりのゴルファーが“見栄”を捨てることが必要である。「今のハンディキャップを保持したい」という意識を捨て、スコアが悪いときでもスコアカードを提出する。ラウンドしたすべてのスコアカード提出の徹底が大前提となるのである。
日本とはハンディキャップに対する意識の違いがはっきりと違う米国では、ラウンド後のスコアカード提出はごく当たり前に行われている。ハード面に関してもハンディキャップ計算が完全にコンピューター化されている。随時ハンディキャップが自動的に分かるようになっており、そのシステムが全国に網羅されているので、どこでプレーしても、すぐに所属ゴルフクラブやオフィシャルハンディキャップに反映されるわけだ。
このような整備の行き届いたゴルフ環境は各地でのアマチュア競技会の旺盛な開催を生み、実際に大勢のゴルファーが気軽な気持ちで競技に参加している。ゴルフが地域に根ざしたポピュラーなスポーツとして完璧に定着しているのである。
米国のシステマチックな運営は、わが国のハンディキャップシステム、及びゴルフ界の発展を考えたとき非常に参考になり、是非学びたい部分でもある。そして『ゴルフをみんなのスポーツに』、という大命題の実現には、やはりJGAハンディキャップの普及がその最短距離になる。
一人でも多くのゴルファーがJGAハンディキャップを取得すれば、各地区、全国レベルの競技の他に、アンダーハンディ競技にも参加することが可能となる。どこでも誰でもスポーツとしてのゴルフを楽しめるようになり、ひいてはゴルフ人口の増加につながるのだ。 |
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1940(昭和15)年、今では考えられませんが、プロにもハンディキャップが設けられていました。ハンディキャップ0だったのが、安田幸吉プロ、林萬福プロ、陳清水プロ、浅見緑蔵プロ、中村寅吉プロ、藤井武人プロ、小池国喜代プロ。鈴木源次郎プロは2。林由郎プロ、小松原三夫プロ、棚綱良平プロ、染谷彰一プロは5。これらのハンディキャップは、当時行われていたプロゴルファーによる月例競技の成績を参考に決められていました。
一方、当時活躍していたアマチュアに目を向けると、久保田瑞穂氏が+2、山形晋氏が2、浅野良三氏が4、近衛通隆氏が7という記録が残っています。 |
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神戸ゴルフ倶楽部から、日本人初のスクラッチプレーヤーとして認定されたのは、同GCの理事長などを歴任した室谷藤七氏です。1906(明治39)年に東京商大(現・一橋大学)を卒業後、郷里に戻り室谷商店を経営する傍ら、神戸GCに通ってゴルフを覚えました。1927(昭和2)年に始まった関西アマチュア選手権では初代チャンピオンに輝いた名プレーヤーです。 |
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一方、女性は「日本のゴルフ史」の著者、西村貫一夫人である西村まささんです。
1921(大正10)年当時の女性としては唯一人のスクラッチプレーヤーとして、神戸ゴルフ倶楽部のハンディキャップリストに名があがっていました。1927(昭和2)年には女性初のスコア70台となる78を記録しているほか、同倶楽部のレディースチャンピオンシップで5年連続で優勝するなど、活躍著しい人でした。 |
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JGA傘下の各地区ゴルフ連盟の査定委員(スクラッチプレーヤー)が実際にコースをラウンドします。まず、各ホールの実測距離に高低差やドッグレッグなどを加味した修正を加え、査定距離を出します。例えばドッグレッグのコースでも、ショートカットできる場合や遠回りする場合は、実測距離よりもヤーデージが短くなこともあれば、長くなる場合もあります。これらの修正を加えたものを査定距離と言います。
次に、査定距離をもとに距離レートを算出。計算式は、査定距離÷210+39.76(グリーン関連の18ホールに対する定数)です。さらに、地形やバンカー、グリーンの難しさなど10項目を10点満点で評価し、難易度を算出します。最終的には距離レートに、この難易度を加えた(あるいは減じた)ものがコースレートとなります。なお、このコースレートが69.9以下の場合には、仮・査定レートとなり、JGAハンディキャップ委員会で内規として採用している補正係数を加えたものが正式なコースレートとなります。少し複雑ですが、まとめると次のようになります。
コースレート=(査定距離÷210)+39.76±難易度+補正係数 |
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プライベートコンペティションで用いられるハンディキャップにはいくつかの種類があります。例えば「キャロウェイ方式」。アメリカのライオネル・キャロウェイという人が考案したことからこの名前がつけられました。 その他に知られているのは、「ペリア方式」があります。アメリカのイリノイ州の“ペオリア”という町で考案されたのがネーミングの由来です。現在、最もポピュラーといえるのが、このシステムでしょう。また、「新ペリア(ダブルペリア)」や「新新ペリア」など、ペリア方式をベースとしたハンディキャップも考案されています。
このようなハンディキャップは、あくまでもその日のプレーヤーの調子によって出された臨時のものであって、その人の技量を正しく反映したものではありません。
JGAハンディキャップを取得すればいつでも、どこでも、だれとでも、統一されたハンディキャップのもとでプレーすることがでます。また、「ぺリア方式」で行われる隠しホールを設定する手間も、プレー後に面倒な計算をする手間も省けるのです。
大変便利なので、みなさんもぜひJGAハンディキャップを取得して下さい。 |
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〔手順〕
1. |
プレーごとのスコアカードを提出する。(取得には20ラウンド分のカードが必要)
スコアカードには、スコアの他にコース名、日付、コースレート、プレーヤーの名前、マーカー、または同伴競技者の署名を記入する。 |
2. |
初めてハンディキャップを算出する場合、最初にハンディキャップ40としてストロークコントロールを行ない、仮のハンディキャップを算出し、その仮のハンディキャップに基づいて改めてストロークコントロールを行ない査定する。 |
3. |
提出された20枚のスコアカードの中、ベストディファレンシャルカードを10枚選んで算出される。 |
4. |
提出枚数が5枚以上19枚以下の場合は、暫定のJGAハンディキャップとする。 |
* |
20ラウンドに満たない場合のハンディキャップ算定に採用するベストカードの枚数は別表の通り。 |
規定枚数に満たない場合の査定対象のスコアカード
スコアカード枚数 |
査定対象枚数 |
5〜9枚 |
4枚 |
10〜11枚 |
5枚 |
12〜13枚 |
6枚 |
14〜15枚 |
7枚 |
16〜17枚 |
8枚 |
18〜19枚 |
9枚 |
〔提出スコアカードについて〕
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提出スコアカードの有効期限はプレー日から3年以内である。 |
● |
提出するスコアカードは、JGA公認のコースレーティングを持つ18ホールのコースで、かつ、ゴルフ規則にのっとりプレーしたものであれば、全て有効である。 |
● |
2クラブ以上に所属している場合は、必ず所属クラブの中からハンディキャップ査定を受けるクラブをホームクラブに指定、登録し他のクラブのスコアも全てそのクラブに提出する。 |
〔全てのスコアカードを提出する〕
ハンディキャップは、そのときの実力によって変化するもの。一度取得したハンディキャップが変わることを危惧して、悪いスコアを提出しなかったりすることは慎まなくてはならない。公正なハンディキャップはスコアが良いときも悪いときも、全てのスコアの報告に基づいて算定される。コースレートのあるコースなら、どこでプレーしてもハンディキャップ査定倶楽部へスコアカードを提出して、常にそのときの実力にあったハンディキャップの保持に努めることが望ましい。ハンディキャップはアマチュアゴルファーの努力成果という認識が重要である。
〔留意事項〕
ハンディキャップの有効期限については、6ヵ月とする。なお、JGAハンディキャップ規定は、守るべき原則であって、その中の7項には「ハンディキャップ委員会の権限」として、各クラブのハンディキャップ委員会の権限を各地区ゴルフ連盟ハンディキャップ委員会の指導のもとで認めている。 |
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