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2002 JULY vol.70 |
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まず、日本の現状を知るうえで把握しておきたいのが国内ゴルフ人口の推移である。別表1の通り、ゴルファー全体は1994年をピークに減少しており、10代に至っては1990年から年々減少の一途をたどっている。また、世代別に比較してみても、10代の層が圧倒的に少ないのが一目で分かる。野球やサッカーなど日本でポピュラーなスポーツの競技人口を世代別に観察すると、学校で触れる機会の多い10代の競技人口が最大で、その後年代が上がるにつれ減少していくというのが一般的だ。しかし、ゴルフはこのパターンにあてはまらず、独特な人口構造となっている。 |
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1994年までは全体のゴルフ人口が増加し市場規模も成長し続けていたため、ジュニアゴルファーの育成は、トップアマやプロを目指す一部の子供達に視点が向けられてきた。この時点で、ジュニアゴルファーの底辺を拡大し、その中からトップレベルの競技者を生み出す欧米諸国のシステムとは異なる道を歩み始めてしまったのかもしれない。ジュニアゴルファー減少の傾向が顕著になってきた90年代後半から、「底辺拡大」の重要性が指摘されはじめ、各ゴルフ団体もそれぞれの立場からジュニア育成に取り組んできた。しかし、なかなか成果が上がらないため各団体間の連絡を密にして、ジュニア育成の基盤をより強固にしようと、99年に日本のゴルフ関連10団体(別表2)が結集してジュニア育成のための組織を結成。それが「日本ジュニアゴルファー育成協議会」(以下育成協議会)である。育成協議会は「我が国におけるジュニアゴルファーの健全な育成を図り、ゴルフ界の健全な発展に寄与すること」を目標に、ジュニアゴルファーの底辺拡大から、トップレベルの育成までを含めた総合的なプログラム作りに日々励んでいる。この育成協議会で陣頭指揮をとるのが、当協会の育成委員会委員長でもある前川昭一氏だ。前川氏は「これまでのジュニア育成はプロの卵を育てるために行われていたものが多くありました。一方で、育成協議会はプロの予備軍を作るのではなく、純粋に底辺拡大を目的とした活動を考えています」と語る。そして今、この考えを基盤にして新しいジュニア育成プログラムが計画・立案された。以下、そのいくつかを紹介する。 |
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次ページ別表3をご覧いただきたい。現在、日本のジュニアゴルファーの登録制度は大きく分けて3つある。JGAジュニア会員制度、(社)全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)登録制度、全国高等学校ゴルフ連盟が行うゴルフ部・個人登録制度の3つである。これらは対象年齢や特典に違いがある。そこで、育成協議会では、これらの登録制度を一元化し、育成協議会の共通会員として再登録する案を現在検討している。「競技志向のジュニアゴルファーだけでなく、ゴルフを始めたばかりのジュニアも取り込んで組織化し、彼らが求める情報、あるいは我々からの情報を確実に提供できるようにする狙いがあります。中央で統一する、という感覚よりも、むしろジュニアゴルファー個々の動きを活発にするための提案です。共通会員には、練習場やコースでの優遇措置の他、色々な特典も検討しています」(前川氏)。 |
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(財)日本ゴルフ協会 |
(社)日本プロゴルフ協会 |
(社)日本女子プロゴルフ協会 |
(社)日本ゴルフトーナメント振興協会 |
(社)日本ゴルフ用品協会 |
(社)全日本ゴルフ練習場連盟 |
(社)日本パブリックゴルフ場事業協会 |
(社)日本ゴルフ場事業協会 |
全国高等学校ゴルフ連盟 |
日本ゴルフツアー機構 |
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この制度は、ジュニアにゴルフの楽しさを教えたり、ゴルフでの安全を管理してくれる人材を養成しようというものだ。今のところ、育成協議会の構成団体や、日本シニア・ゴルファース協会からの推薦者を対象とする予定である。「GLCの特徴は、ゴルフの技術指導というよりは、ジュニアゴルファーの心の育成に主眼をおいているという点です。ゴルフは自己責任や他人への思いやりを重視するスポーツです。子供の時からそういうゴルフの基本的な精神を身に付けてほしいのです」と、教育者でもある前川氏は語る。
この制度の実施により、近年定年退職後ゴルフ離れの傾向にあるシニアゴルファーがゴルフに帰ってきたり、子供にゴルフを教えることで、人格形成に最適なゴルフというスポーツの素晴らしさが再認識され、個々の家庭でゴルフが活発になるなど、ゴルフ界全体の活性化につながることが期待される。 |
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