2003 JANUARY vol.72
 その小林の連覇がかかった2002年の舞台は、千葉県の我孫子ゴルフ倶楽部。我孫子GCといえば、まず名前が浮かぶのが青木功。その青木が4年ぶりに生まれ育ったコースに帰ってくることになった。そしてその青木の弟子といわれる海老原清治は、2002年の欧州シニアツアーで3勝をあげて賞金王に輝いた。その海老原も青木とともに出場するとあって、例年のシニアオープンには見られなかったほどの話題が提供された。
 しかもコースは都心から近く、交通の便もよいことなども手伝って1日目に2079人、2日目1144人、3日目3801人、最終日6100人、計1万3124人。なんと日本最高のトーナメントである日本オープンを大きく上回るギャラリーを集めたのだ。

 1日目は、晴れ、風弱く気温16度。好コンディションの中で、ふた昔前には「もう一人の青木」といわれ、レギュラーツアーで活躍していた青木基正が16番でダブルボギーを打ちながら、8バーディを奪って5アンダーパー67でトップに立つ。2位には奥野光司と並木俊明が68で並び、シニアルーキーの福沢孝秋が69で4位につけた。青木功は「スタートの時、俺の卒業した我孫子第二小の子供たちが400人も来て、横断幕と小旗で応援してくれた。緊張しちゃったよ。海老原も目を丸くしていたよ」と感激。プレーの方では4バーディ、2ボギーの70で5位タイ。
 2日目、雨で気温11度。昨日トップの青木基正は1バーディ、7ボギー、1ダブルボギーの80と大崩れ。かわって4位発進の福沢が「後半はモヤってきてピンの位置はもちろん、フェアウェーとラフの境も見ずらかったので、無理しないように攻めた」と3バーディ、1ダブルボギーの1アンダー71で回って、通算4アンダーパー140でトップを奪う。そして話題の2人が1打差の2位に上ってきた。青木功は2バーディ、1ボギーの71。海老原は4バーディ、1ダブルボギーの70。ともにトップと1打差の好位置につける。4位に2連勝をひそかに狙う小林と、アマチュアの宮辰夫がつけ、全英シニアオープン優勝の須貝昇は144で11位タイ。2年ぶりの優勝を期す高橋勝成は146で17位タイ。この日で通算7オーバーパー151(55位)までの66人にカットされたのだが、実際には2日目の午後3時45分に雨と濃霧のために競技はサスペンデッドになり、8組21人の選手は3日目早朝から残りホールを消化したもの。

 3日目、天候は回復して晴れ、14度。2日目にトップに立った福沢は「レギュラーツアー時代を含めて青木さんと回るのは初めてでスタートのときは緊張した」というがバーディ先行の4バーディ、1ボギーの69。バーディスタートが切れたら波に乗るタイプというが、ゴルフの内容もよく、長打力を十分に生かしてトップを守った。それを追う青木、海老原も同様に69。青木は5バーディ、2ボギー。海老原は4バーディ、1ボギーという内容で依然1打差。青木は「前半、距離を合わすパットを心がけたらラインがでていたが、後半はグリーンに湿気が出て前半のタッチでは決められなかった」といい、海老原は「グリーンは捉えるがピンに遠いところばかり。アイアンのコントロールがいまひとつ」と差を詰められなかったことを悔しがる。
 最終日、晴れ、16度と暖かい。優勝争いは福沢、青木、海老原の3人に絞られた形でスタート。1番バーディの海老原がパーの福沢に並ぶ。福沢は6番までパー。この間に青木が3番1.5メートル、6番1メートルとアイアンの切れ味よくイージーバーディを奪って遂にトップに立つ。しかしインに入ると青木はパットが決まらずパーを続けたのに対し、福沢は10番で第1打がOBスレスレでクラブも十分に触れない状況からバーディに結びつけ、13番、15番もバーディで青木に2差、海老原に4差をつけ、初出場優勝を確実なものにした。青木は結局1打差の2位。海老原が3位。ローアマチュアは294で29位に入った神戸誠が宮を逆転して初受賞。小林は5位タイに終わった。


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