JAPAN GOLF ASSOCIATION
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受賞者作文
大学生の部
優秀賞
ジュニアを取り巻くゴルフの環境
髙野 隆
東京大学3年
   現在ジュニアゴルファーを取り巻く環境は、存分にゴルフできるほどになっているだろうか。この問いに対して、完全ではないが、大きく前進しているといえる。

  私がゴルフを始めたのはおよそ20年前だが、当時は子供がゴルフをすること自体批判されるような風潮が存在した。一部のゴルフ場はプレー自体に年齢制限を設けていたし、仮にしていなかったとしても、金持ちのボンボンがという目線を浴びせられていた。確かに未だそのような空気は完全に払拭されているとは言い難いし、ゴルフをする家庭には少なからぬ金銭的な負担を強いられることには違いないだろう。

 しかし、近年明らかにその風潮は変わりつつある。多くのゴルフ場がジュニア料金として格安の値段を設定してくださるようになり、18歳以下のゴルフ場利用税は撤廃され、コースへ出るハードルは大きく下がった。ジュニアの大会が次々に整備され、スポーツとしてゴルフをするということがさほど珍しくなくなった。その結果石川遼選手や宮里藍選手のような若手のスターが登場してきた。私も90年代から00年代とゴルフをさせてもらい、その変化を肌で感じた。まだ子供に対する風当たりの強い時代から私たち子供にプレーをさせてくださり、ジュニアゴルフの環境整備に努めてくださった方々には本当に感謝の念を抑えきれない。

 しかしその一方で、まだまだサッカーや野球のように、普通の子供たちが当たり前のようにゴルフをする、という環境には至っていない。都会にはゴルフが出来るような広場はなく、どうしても練習場に行くしかない。どうしても何千円かかるし、移動だけでも時間はかかってしまう。コースもやはり車で1時間以上かかる郊外まで行ってするほかなく、そういった負担に対する課題もまだまだ残っている。

 そういった点で、大きく前進してはいるが、まだまだ完全とは言い切れないのである。

 しかしそれでも、かつての環境とは雲泥の差といえる。これからも金銭面に加え、学校にゴルフ道具を寄贈し、体育の授業でゴルフを取り上げてもらう、プロトーナメント会場では観客の方々にアトラクションでゴルフを体験してもらうなどといった地道な努力を続けていけば、誰もが気兼ねなくゴルフが出来る普遍的な、生活に根ざしたスポーツになる日もそう遠いことではないだろう。

 私は実家に帰るたびに父や、もう八〇歳になる祖父たちとプレーする。ゴルフは、屈強な若者からお年寄り、女性に子供とあらゆる年代、性別の人々が同時に、同じ空間を共有できる、素晴らしいスポーツである。この喜びをより多くの人々と共有していくために、これからもゴルフ界が一致団結し、協力してほしいものである。
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