キラキラと輝く大学生活への思いは一転して文武両道の厳しさを知ることになる。
文武両道という言葉を聞く度に「武が長けている人には文武両道というが、文の長けている人には武を求めないのはなぜか」と疑問に思ってきた。しかし幾度となくその厳しさの中でもがきながら、この言葉を達成出来たら人間性を磨き大きな自信を得るチャンスなのだ。私はチャンスに挑む機会を得たのだと思考を変えた。
「大学生」という括りがある以上まだ学ぶべきことがあるのでは?大学進学を選択した理由だ。それがどのような形でゴルフに影響してくるのかはわからなかったが、無駄にはしない、という強い信念で大学生活をスタートさせた。ゴルフの世界しか知らなかった私には、他のスポーツに関わっている友人、またスポーツとは無縁の友人などすべての人との出会いが新鮮であり、色々なことを学ぶと同時に、自身の未熟さも自覚することができた。試合後悔し涙をぬぐいながらも授業のためにユニフォーム姿で学校に直行したことも度々ある。
試合の結果を授業中に祈りながら速報で見ていて、教室に入る私を拍手で迎えてくれた先生や友人たち。ゴルフとは無縁の人達が応援してくれている姿を見る度に、まだまだやれる。次こそはもっと上を、と決意してきた。私が毎年目標を決め達成することが出来るのは、私が頑張ったという理由だけではなく部活の仲間・友達を始めとする周囲の人たちが同じ思いで戦い、環境を作ってくれたためで、決して一人で挑んでこられるものではなかった。
数ある大学の中で明治大学を選んだのは、すでに完成度の高いゴルフ部ではなく、未熟な部で組織作りからマネージメントをしてみたいという理由からである。入学時には「私が4年間で全国レベルの部活にして見せます」と公言した。もちろんその道は険しいもので意識改革から取り組みを始め、厳しい言葉で叱咤しながらも後輩から先輩へと立場が変わる頃には少しずつ手ごたえが感じられた。変化をしたのは部活だけではなく、私自身の物事の考え方やゴルフプレーにも大きく影響を与えており、気付くと成長を実感できるまでになっていた。
「体育会」という言葉を聞くと、高いレベルの人しか在籍できないイメージがあるが、それは違うと思う。技術面での向上は必要だが「大人の社会に入るための準備をスポーツを通じて学ぶ場所」と私自身は思っている。部員全員が卒業までにアンダーを出せなくてもいい。個々が人間として成長することができれば十分に体育会に在籍した価値はある。
価値ある自分になるために、価値を見つける目を持つためにどのような時間を過ごすのか。それが4年間の大学生活の意味であり、私自身は胸を張って「充実した4年間を過ごした。次のステージへの準備は出来た」ということができる。
最後に、ここまで支えてきて下さった多くの関係者の皆様にこの場をお借りしてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
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