しかし、ドラマは急展開するから面白いのだろう。”サンデー・バックナイン(日曜日午後の9ホール)に入って小雨がぱらつき出すのだが、それが悪夢の予兆だったのか、3人それぞれに”ダブルボギーの悪魔”が襲いかかるのだった。「幸福の表情はみな同じだが、不幸の表情はそれぞれ違う」といわれるが、まさに不幸の”ダブルボギー”はそれぞれ違った。
まず、陳が10番のフェアウェーから打ったセカンドショットが無情にもグリーンオーバー。寄せもピンをオーバーして3パットのオマケがついたのだ。一気にスコアを5アンダーパーに落とす。
次は中嶋の15番ホール。友利の8アンダーパーを追い越すべく「10アンダーパーを目標
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にプレーしていたので、パー5のホールで2オン狙いに出た」のだ。「左のラフだったけれどライが良いので3番ウッドでフェードを打とうとしたのですが、逆にドローして左の林OBへ。がっくり!来ました」と述懐する。暫定球がバンカーに入り、意気消沈していたせいかバンカーショットをシャンク! ギャラリーの足に当たって跳ね返ったボールを今度はきっちり寄せて、ダブルボギーに収めたのだ。
そして、残りの不幸は友利の15番ホール。フェアウェー真ん中からの第2打が「グリーンが堅いことを意識してショート」。バンカー入りだが、ボールはバンカーエッジの下、砂の斜面に止まったのだ。友利はさんざん考えた挙句、ピンに背中を向け、片足だけ砂に入れて、まずは脱出を目指すも、バンカーから脱出せず。「アンプレアブルも考えないではなかったが、ドロップするとボールが”目玉”になるから・・・」と試合後に反省した。第4打で乗せて2パットの”ダブルボギー”となって、一気に6アンダーパーに。その後の17番、過去3日間すべてバーディーを獲っている得意のホールでも痛恨のボギーにして5アンダーパーに墜落。「情けない」を連発する結果となる。
「OBを打って、一瞬諦めたのに、友利が余計なことをしてくれたので、最終18番ホールでは優勝スコアを意識して緊張した」と中嶋はいう。
最終組の友利が18番でバーディーを獲れば、プレーオフという瞬間、中嶋はスコア提出テントで、「シニアの初優勝を僕にくれ!」と祈っていた。友利のバーディパットが外れたとき、中嶋は帯同キャディの金本洋人と抱き合った。
「彼とは16~17年の付き合いだけど、息もピッタリ合う友人のような間柄。勝因は彼のお陰だし、ジュニア時代に父親と練習プレーをした嵐山カントリーで勝ったので、プロ入り以来初めて涙が出た」とコメントした。
「日本と名のつくタイトルをすべて獲りたい。残るは日本プロシニア選手権だ!」と、シニアツアーに目線を合わせた来年のシーズンに気持ちを切り替えていた。
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