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1番ホール 2打目地点 |
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18番グリーン 優勝の瞬間 |
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池田勇太は、昨日、体調不良にもかかわらずスコアを伸ばし、2位との差を6ストロークまで広げて迎えた最終ラウンド。今朝になっても体調は万全には戻らず、朝食を摂ることもできないまま、ティーオフした。
ドライバーを使った1番(487ヤード・パー4)。いきなりティーショットを右に曲げて木に当てた池田は、抜群のリカバリーショットでグリーン手前15ヤードに2打目を運びながらも、アプローチをミスしてボギースタート。それでも、池田に焦りはなかった。続く2番(145ヤード・パー3)で1打目を1.5メートルにつけてスコアを戻すと、その後は終始安定したプレー。7番(370ヤード・パー4)で左ラフからのセカンドショッ
トを50センチにつけ、スコアを伸ばす。8番(539ヤード・パー5)は、2打目を左ガードバンカーに打ち込み、2つ目のボギーを叩いたものの、2バーディー・2ボギーのイーブンパーでハーフターンした。
「今日は、ピンポジションが非常に難しく、前半を終えた時点でスコアを伸ばすことはできないと感じた。同組の伊藤君も中島君も良いゴルフをしながら、バーディーを奪えなかったし。後半は、自分自身との戦いになると思っていた」と話すとおり、10番以降、池田を追う選手がスコアを崩していく。そのなかで池田は、後半も1バーディー・1ボギーと盤石のゴルフで、この日イーブンパーでホールアウト。通算13アンダーパーで2位に10ストロークの大差をつけて、史上8人目の大会連覇を果たした。
「できれば、4日間連続でアンダーパーを出したかった。でも、この体調と難しいセッティングでは、スコアを伸ばせなくても仕方がありません。よく我慢できたし、満足しています」と安堵の表情を浮かべた。
喜びの笑顔ではなく、安堵の表情を浮かべたのは、「関東学生で勝って本大会に臨み、周囲の人達が2連覇の期待を自分にかけていることは百も承知でしたし、その思いに応えたいと思っていました。もちろん、自分自身でも連覇を意識していました」という責任を果たしたが故だろう。
池田のプレー振りは、エンターテイナーを感じさせる。ミスショットをすれば天を仰ぎ、難しい状況からのショットの前には、一人言ちる。プレー中にこれほど自分の感情をあらわにする選手も珍しい。本大会は、池田の一人舞台だった。全英アマベスト16の伊藤勇気も中島徹も脇役。池田は、主演男優のように周囲の注目を一身に集めた。「プレーしている本人たちは、もちろんバーディーの嬉しさやミスショットの悔しさを感じている。自分はそれを素直に表現することで、僕のプレーを見てくれている人達も楽しんでもらいたいのです」池田は主役の座を演じ切り、ギャラリーを大いに楽しませた。
大会連覇を果たした本大会は、2位に10ストロークの大差をつけ、他の選手との実力差を知らしめた。高校時代には日本ジュニア2連覇、世界ジュニア優勝、日本オープンローアマチュアと数多くのタイトルを手にしている。そして、日本学生2連覇を果たした現在、次の目標は何かと問われ「残り1年半の学生生活を全うすること。もちろん大会3連覇は狙います。でも、歴史に名を残すことが目的ではないのです」と答えた。「自分は池田勇太という人間を多くの人に知ってもらいたい。ゴルフを知らない人でも、僕の名前を知っているという存在。言ってみれば、野球界のイチローやサッカーの中田英寿のように、池田勇太の時代を作りたいのです」と壮大な目標を口にした。
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