第3ラウンドスタート時の、2位との差は9ストローク。この大差が原の気持ちを2日間と変えてしまった。
「今日は2位との差もあったので、楽な気持ちでスタートしました。昨日までは、バーディーを獲ることにこだわっていましたが、今日はその執着心が薄れてしまいました」それでもショットが好調な原は、1番(170ヤード・パー3)で2メートルのバーディーチャンスを迎える。しかし、この絶好のチャンスを逃してしまう。2番(464ヤード・パー3)では、一転してアプローチを寄せきれず、1.5メートルのパーパットが残る。これをなんとか決めた原は、「こんなゴルフをしていてはいけない。気持ちを入れ替えて、もっとスコアを伸ば
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さないと」と昨日までの気持ちを取り戻そうとするが、思うようにならない。5メートルほどのバーディーチャンスをことごとく外す。「6番ぐらいからバーディーを早く獲りたくて…でもパットが決まらなくて。回りから見てもわかるぐらい焦っていました。プレーのリズムも崩して…」
この日の初バーディーは、後半に入った12番(385ヤード・パー4)だった。ここで優勝を確信した原は、その後も危なげないプレーでパーを積み重ね、本大会初出場初優勝を手中に収めた。この優勝は、東北福祉大学としても初の日本女子学生優勝となる記念すべきものだったが、原の思いは複雑だった。「もちろん、優勝できたことは嬉しいです。でも、今日のプレーには全然満足できません。調子は良かったのに、スコアを伸ばせなかったのが悔しい」と満面の笑みは見せなかった。
それでも、原にとって、本大会は新たな発見ができた有意義な試合となった。「これまでは技術面での力不足を痛感していましたが、この試合では自分の調子も良く、モチベーションも高かった。それなのにスコアを伸ばせない。自分にとって新しい壁を見つけることが出来ました」と語った。
原は世界女子アマの出場を熱望している。それは、2年前の世界女子アマに出場した際に「自分は国内では、飛距離でアドバンテージを得るタイプで、決してショートゲームは得意ではありませんでした。でも、世界では全く普通の飛距離。自分の長所だと思っていた点が世界では通用しない。世界を舞台に戦う選手との実力差に、ショックを受けた」から。自分の戦うステージは世界。そう心に決めている原にとって、得難い経験を積めるチャンスは是が非でもものにしたい。『世界女子アマ』は、近々行われる選考合宿の結果を経て代表選手を決定するが、この優勝は大きなアピールになった。
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