田中の笑顔とは対照的に、ホールアウト直後の高橋は疲労困憊の体だった。「このコースは、ティショットでフェアウェイに打てないと、パーをセーブすることも難しくなる。今日は、ショットがぶれて苦しいゴルフだった」とプレーを振り返った。ショットの不調の遠因は、昨日の2番ホールで1メートルのバーディーチャンスを外したことにあるのかも知れない。第1ラウンドでは、2番以後に好調だったショットが乱れ、3ボギーを叩いた。今日もショットは復調しきれず、3番ではティショットを右の林に打ち込みボギーが先行する。5番もボギーとした高橋だったが、「上手くいかない中で、よく耐えた」と自分で感心するように、その後14番まで9ホー
ルをパーで凌ぐ。そして迎えた15番。ピッチングウェッジで打った2打目をホールに寄せて、この日初バーディーを奪い、このままのスコアを維持してホールアウトするかと思われた。
しかし、高橋に待っていたのは「今日のゴルフを象徴する最終ホールだった」と嘆く18番のボギーだった。終わってみれば、1バーディー・3ボギーの74。通算1オーバーパーとスコアを落としたが、上位陣も軒並みスコアを崩し、首位と1打差の2位に踏みとどまった。「優勝が狙える位置にいられることは、嬉しい。もちろん、チャンスがあれば逆転を狙っていく。そのためには、明日アンダーパーが必要になると思う。でも、バーディーを狙ってガツガツしたプレーはしたくない。今日のミスを明日しないように。耐えるゴルフが出来れば…」と目論む。「自分の課題は、試合になると普段のスウィングが出来なくなること。プレッシャーのためか、スウィングが小さくなってしまう。練習通りに気持ちよくクラブを振れれば、フェアウェイも捉えられるし、きっとスコアもついてくる」と冷静に自己分析をする高橋。初出場初優勝のチャンスは、今まで経験したことのないプレッシャーが高橋に襲いかかるだろう。沈着冷静な高橋が、自分の課題を克服し、目論見通りに逆転優勝を飾るのだろうか。
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