第3ラウンドを終えて、2位の近藤とは3打差。「今日は、攻めすぎないように。自分から崩れないことだけを考えていた」首位スタートの大田和桂介(日本大2年)。緊張からか1番ティショットを右ラフに打ち込むが、そこからピンハイに2オン。強烈なスライスラインを確実に寄せて2パットのパーで無難な立ち上がりを切る。3番では、またもティショットを右ラフに打ち込むが、グリーン手前からの4打目を寄せてナイスパー。4番パー3はグリーン左奥からのアプローチを寄せる。「前半は、ティショットが不安定で右にも左にもミス。2打目も自然とピンに気持ちが向かっていって、なかなかチャンスが来なかった。それでも、焦りは無かった」という
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大田和は、7番までパーを積み重ねる。その間、近藤がスコアを伸ばし、6番で最小ストローク差まで詰め寄られるも、「まだ残りホールは、かなりある。焦らないように…」と泰然自若に7番までパーを積み重ねる。
この日の初バーディーは8番。3打目の右ラフからのアプローチを1.5メートルに寄せると、1打差で後を追う近藤のアプローチが、1.6メートルに。先に打った近藤のバーディーパットがホール左をすり抜けるのを見届けた大田和は、もう一度慎重にラインを読み直し、下りのフックラインをど真ん中から沈めた。「アプローチとパターで粘って、チャンスが攻めたら確実に伸ばす」この3日間、大田和が実践してきたゴルフは、最終ラウンドも変わらず、続く9番も7メートルのねじ込み連続バーディー。このホールで近藤との差は再び3ストロークになると、残りは大田和の独壇場だ。13番で2メートルを沈めると、競技再開後の17番こそボギーを叩いたが、この日3バーディー・1ボギーの70。通算14アンダーパーまでスコアを伸ばし関東学生に続く、ビッグタイトルを手中に収めた。「今日は、パーセーブを第一に考えていた。それが出来たことが嬉しい」と、ホールアウト後は、満面の笑み。
優勝を決めた瞬間は、冷静な大田和には珍しく大きなガッツポーズで喜びを表現した。日本大学勢としては、1997年大会の米倉憲太郎以来の日本学生優勝に、「伝統ある日本大学ゴルフ部に籍を置いて、このタイトルが取れた。この成績は、ともに切磋琢磨している仲間達のおかげ」としみじみ語る。秋には信夫杯と朝日杯を控える大田和。「日本学生チャンピオンとして、優勝したい。でも、スコアにはこだわらず、自分のゴルフが出来れば」と、慎重さを崩さない。しかし、この優勝で得た日本オープンの出場資格は、大田和にとっても大きなことのようで、「日本オープンは本当に楽しみ。歴史ある大会で難しいコースセッティングの中、自分のゴルフが通用するのか。良い経験が出来ると思って、プレーしたいし、出場選手の技を学べたら」と、10月の古賀GCに思いを馳せる。
これまで日本大学からは、川岸良兼や丸山茂樹、横尾要らそうそうたる先輩が日本学生チャンピオンに輝いている。特に片山晋呉は、アマチュア時代に日本オープンで3位入賞を果たしたことも記憶に新しい。古豪日本大から現れた新たなチャンピオンが日本最高峰の舞台で、活躍する姿を期待したい。
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