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ホールアウト後友人と抱き合う鈴木 |
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14番でパーセーブをしガッツポーズ |
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ホールアウト後、「こんなにしんどかったラウンドは今までにないです。毎ショット、毎パット精神的なストレスを感じ、気を抜けるホールは1ホールもなかった。」と「大会史上初の2連覇」に挑み18ホールを苦しみ抜いた鈴木は、感激に目を潤ませながら語った。
そんな鈴木の2連覇への道のりを支えたのは、大阪桐蔭高校ゴルフ部の生徒への教えだった。鈴木は一昨年から前記高校ゴルフ部にコーチとしてたずさわっている。生徒を指導する上で、鈴木が大切にしていることは、「結果にとらわれるプレーはしない。1打1打に最善を尽くし最後まであきらめない事」の1点だけだという。この1点の教えが鈴木を優勝へと導いた。
トップで
スタートした鈴木は、2番で、8mのパーパットを集中しきれないまま打ち、3パットのダブルボギーにしてしまう。「何してんやろ。優勝を意識して集中できないなんて・・・普段教えていることが自分でできてないなんて・・・生徒の顔が浮かびました。1打に最善をつくそう!」と鈴木は、集中力を取り戻し、続く3番パー3でティショットを1.5mにつけバーディを奪う。
しかし、本調子とは程遠いショットとホールごとに強くなる風に、鈴木は4番と9番をボギーとし、前半を3オーバーで折り返す。後半に入ってもボギーが先行する苦しい展開。ボギーの度に萎えそうになる気持ちを鈴木は、生徒への教えを思い出し、何度も自分を奮い立たせた。
迎えた14番パー4でティショットを右にミスをし、2打目をフェアウェイに出し、60ヤードからの3打目をピン奥10mのグリーンエッジまでオーバーしてしまい絶対絶命のピンチを迎える。ダブルボギーも覚悟したというエッジからのパーパットを見事ねじ込みパーセーブ。「あのパーは大きかったです。あそがダボだったらどうなってたか・・。神様ありがとうって感じでした。」と鈴木。
これで波に乗るかと思われた鈴木だったが、すぐにまた「2連覇」への試練が訪れる。直後の15番でティショットをナイスショットとし、5wでの2打目も会心の当たりでピン手前6メートルのバーディチャンスにつける。しかし、グリーン上の落葉がパッティングの際に、強風に煽られ何度も舞い、鈴木は、集中力を欠き痛恨の3パットのボギー。気持ちの切り替えもできずに鈴木は、17番でもティショットを左の林に打ち込みボギーとし、この時点でこの日ベストスコア74をマークした2位の西山敦子との差が1打差までに縮まってしまった。
迎えた18番パー5。鈴木は2打目地点で迷っていた。昨日まではグリーン手前バンカーを避けるためにアイアンでレイアップしていたが、この日はフォローの風。攻めるのか守るのか悩んだ鈴木は、「ここまで来て何縮こまっているんだろう。行こう」と4番ウッドを手にする。この2打目は、フォローの風にのり、グリーン右のバンカーへ。3打目をピン左5メートルに乗せ、2パットのパーでホールアウト。通算9オーバーパー153で、大会史上初となる2連覇を2年連続の完全優勝で飾った。
10月に練習ラウンドとして相模CCでプレーするなど、鈴木の2連覇への思いは強いものだった。その思いが強いだけに鈴木は苦しんだのだろう。しかし、鈴木は、今まで誰も成し得なかった2連覇の壁を見事に乗り越えることができた。これは鈴木に大きな自信を与えたに違いない。この優勝で、再び09年に我孫子ゴルフ倶楽部で開催される日本女子オープンゴルフ選手権の出場資格を得た鈴木は、この自信を胸に来年また更なる飛躍を目指す。
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