三木を苦しめたのは、伏兵だった。4組前でプレーする本選手権初出場の山本美恵子(成田東)が前半を1ボギーの37でまとめると、後半も1バーディー・3ボギーで、この日3オーバーパー75。優勝争いを三木とのプレーオフに持ち込んだ。
「ショットは決してよくなかった。コースが難しいので、丁寧にプレーすることだけを心がけていた」という山本。スタート前には、友人に「いつか必ずチャンスが来る。それまで我慢してプレーしなさい」とアドバイスを受け、その言葉を胸に刻んでホールを重ねていた。3ボギーで耐えてきた山本にそのチャンスが訪れたのは、14番パー5。2メートルの上りフックラインを読みきった山本はバーディーパ
ットを決める。このバーディーで首位をいく三木とは2打差。15番でボギーを叩き、3打差となった山本だったが、ここから最後の粘りを見せる。
17番で2メートルのパーパットをねじ込むと、最終18番では、「ピンが近いので、普通のアプローチショットの打ち方にした」というグリーン右バンカーからの3打目を20センチにつけてパーセーブ。通算15オーバーパーでホールアウトした山本は、三木のプレー終了を待っていた。結局三木は、17番のボギーで山本と同スコアでホールアウト。山本に初出場初優勝のチャンスが巡ってきた。
しかし、山本には不安があった。「今までプレーオフの経験がない」という山本は、緊張の色を隠せない。プレーオフが行われる10番のティインググラウンドでは、ショットを放つ前に胸に手を当てて、落ち着こうとする山本の姿があった。しかし、ティショットを右の林に打ち込むと、2打目は出すだけ。三木が2打目でグリーン奥のラフに打ち込んだのを見た山本は、勝負がかかったラフからの3打目を迎える。山本はこのサードショットをシャンクしてしまい、万事休す。ダブルボギーを叩いた山本は、ボギーでホールアウトした三木に敗れた。
所属倶楽部から応援に来てくれた友人に声をかけられると、少し目頭を押さえたが、「初出場でこれだけの成績が残せて満足です。ものすごく良い経験になりました。女子シニアで良い流れが出来たと思います。次の試合は関東女子選手権。このままの流れを大切にして、日本女子アマに出場できるように頑張ります」と、最後には気丈に笑顔で答えてくれた。
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