45歳。ベテラン田村尚之が注目を浴びたのは、2年前、2007年の本選手権だった。小林伸太郎と決勝戦。36ホールでは決着がつかず、41ホールまでもつれこむ激戦だった。惜しくもランナーアップ(2位)となったが、若手選手が台頭する中で、40歳代のサラリーマン・ゴルファーの活躍が心に残る大会だった。
その田村は、インからのスタートだった。
「インは、何が起こるか解らない」というクセのあるホールが多い。ゲームとしては面白いが、プレーする選手には、油断は禁物というホールが続く。
田村は、一瞬、その油断があったのだろうか。
「10番からスタートして、ずっとパープレーで回っていたのです。ちょうど14番ホールあたりから激しい雨に変わってきて、17番ホールで、手袋を変えようかな、と一瞬思ったのですけど…」そのままティーショットを打ってしまった。
ましてや、この17番ホール(349ヤード・パー4)は、第1打のクラブ選択に迷う。ドライバーを持つか、フェアウェイウッドにするかだ。
なぜなら、左サイドに少しでも引っかけるとOB。逃げようと右に打ちすぎるとOBというホール。
田村は、ドライバーを手にした。その第1打が左に曲がってOBとなる。3番ウッドでの打ち直しも左斜面のラフ。4打目となるショットで、なんと「手が滑ってシャンクで、OB」…結局、このホールでダブルパーの「8」を叩いてしまった。「油断、でしたね。スタート前、さほど雨が降っていなかったので、雨という状況での心の準備不足でした」
後半のアウトコースでも、出だしの1番ホールでダブルボギーを叩くなどしてアウト41、イン40の81と大きく出遅れた。
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