1回戦を5and4と早く決着をつけた宇佐美祐樹(鷹)の2回戦の対戦相手は、時松源蔵(筑紫ヶ丘)だった。宇佐美よりも4歳も年下の15歳。けれども、時松と一緒にプレーした選手に聞くと、「粘り強い」と誰もが言う難敵。
宇佐美は「今日はショットの調子がいまひとつで不安材料がありましたけど、特に長いクラブの方向性にブレが目立ちました。ともかく、それよりもスウィングが悪くならないように心がけてプレーしました」雨も手伝って、スウィングのタイミングがどうしても速くなる。4、5番ホールと2つ獲って、6番ホールで、時松に獲られる。時松は、このバーディーで、流れを掴もうとした。ところがその矢先、7番ホール(4
68ヤード・パー4)の第1打がOBスレスレのショット。そこでまた宇佐美に獲られ、流れがつかめない。8番も宇佐美で前半を終えて宇佐美が3upだ。
「彼は、自分の世界に入ってゴルフをしていくのがうまい。実際、後半に入って、流れが時松君のほうに行っていた」という宇佐美は、10、11番と時松に取り返されてしまう。12番を終えて、宇佐美の1up。ここからの二人の心理模様が、いかにもマッチプレーならではの展開だった。
宇佐美は「流れは、時松選手。なんとかパーを死守して崩れるのを待つしかない」という気持ち。時松は、そんな宇佐美がパーパットを入れるたびに、過剰反応してしまう。
宇佐美が、5~6メートルの距離のパットを、いくつかカップをオーバーさせる場面をみて「自分が、バーディーチャンスにつけているにも関わらず、つい相手のミスを見てしまって、打ち切れなかった」と言った。あと一つ獲れば、オールスクウェアという13番ホール以降、それが続いた。インパクトで緩んでしまうのだ。時松のマッチプレー経験は、ホームコースの理事長杯だけである。そのマッチの経験不足からか「流れは、完全に時松君」と感じていた宇佐美と、宇佐美のプレーを見過ぎて自分を見失った時松。その過剰反応がゲームの分かれ道になった。
時松は、悔しさを隠しきれない。今は、いい経験をした、という言葉だけでは、その悔しさは、すぐに消えないだろう。
2回戦で苦戦した宇佐美に対して、大田和桂介(日本大)は1回戦を6and5、2回戦3and2と危なげなく勝ち進んだ。手嶋優介(三重中京大)との対戦となった2回戦は、「1回戦を大差で勝った良い流れのままスタートしたのですが、2番ホールでボギーを叩いて、その流れを止めてしまいました。でも、相手もボギーでそのホールをわけたので、すぐに気持ちを切り替えられました」と、相手のミスにも助けられる展開になり、6番でバーディーを奪って差を広げてからは、「ボギーを打たなければ負けない。自分のリズムでプレーすることが出来ました」と、笑みをこぼす。
準々決勝の相手は、日本大学で同期の宇佐美とのマッチアップ。お互いのプレースタイルを知っているだけに、戦いづらいのではないかと思われるが、「だからこそ、楽しみです。日本アマという舞台で、お互いで刺激しあっている宇佐美君と対戦できる。わくわくしています」と明日の対戦を待ちきれない様子だった。
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