2位に4打差をつけてのトップに立った森美穂の第一声は、「一番驚いているのは自分自身かもしれません」だった。6バーディーでボギーなし。6アンダーパーは中学2年時に優勝したアーロンバデリー・インターナショナルジュニア選手権でマークした自己ベスト・スコアに並ぶタイ記録だった。
「あのときのコースは短かったし、いけいけムードの勢いで突っ走ったゴルフでした。ホールアウトしたときは“やったぁ!”という感じでしたね。今回は、あのときほどの高揚感はありません。気がついたら6アンダーパーだった。そんな感じです」
大会前までの調子は、ずっと下降線のままだったという。「特に8月第1週の全国高等学校ゴルフ選手
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権のときは最悪で(12位タイ)、ゴルフになっていませんでした」
今大会もスタート前の練習では、手応えをつかめずにいた。そこで、ふたつのテーマを自分に課してのスタートとなった。「ひとつは、絶対に無理をしないこと。もうひとつはアウト、インとも最初の3ホールでひとつバーディーを奪って自分のリズムを作ることです」
思惑どおりの展開が待っていた。1番からのスタートで3番パー5で最初のバーディーが決まった。この後さらに3バーディーを加えてターンした後半でも3ホール目(12番パー4)で第2打が40センチにつくバーディーがきた。そして6つ目のバーディーは15番パー5。アゲインストの風をついて150ヤードの第3打を6番アイアンで打ってピン横3メートルにつけてのものだった。
実は、この日の森、1、18番を除くほとんどすべてのホールでバーディーチャンスを迎えていた。「そのうちの半分は決まって、半分は外れた。だから、もっとスコアを伸ばせたようにも思われるかもしれませんが、実際は違うと思います。先走りそうになる自分の気持を抑えて、とにかく目の前の1打に集中するようにしました。無理なプレーは絶対にしないで、できる範囲のことを遣り通すんだって、何度も自分に言い聞かせていました。あれだけバーディーチャンスが生まれたのは、その結果だと思います。もし、勢いのままにプレーをしてしまったら、あれほどチャンスは作れなかったでしょうし、少ないチャンスで決めなければ…と自分を追い詰めてしまったでしょうから、結局、このスコアにはならなかったと思います」
4打差は、大量リードといっていいだろう。残り18ホールの戦いは?
「優勝を意識しながらのラウンドになるとは思いますが、気持ちを入れすぎず、自分をコントロールして暴れさせないようにします。無理はせず、でもひるみもせず、目の前の1打に集中してプレーしたいと思っています」
男子の15~17歳の部では、兄の森博貴が3位につけている。
「できれば、ふたりで最高の結果をだせればうれしいですね」と森。夢実現は兄のゴルフ次第か。
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