最終ラウンドを首位の大田和に1打差でスタートした阿部裕樹(日本大学3年)と、2打差3位につけている大槻智春(日本大学2年)。日本大学3人の優勝争いは、終盤まで1ストロークを争う熱戦となった。
1番パー5。大田和を捉えるには攻めるしかない阿部と大槻は、ともに2オンを果たし、大田和にプレッシャーをかける。しかし、阿部が3パットでパー、大槻は無難にバーディーを決めるが、大田和も「2人が攻めてくるのはわかっていた」とバーディーを獲り返し、差を縮めさせない。阿部が2、5番でボギー、大槻も5番でボギーとスコアを伸ばせず、大田和を追い込めない展開になったが、勝負の流れは7番を境に一気に動き出す。7番で
大槻が8メートルのバーディーを決めると、続く8番では、阿部が2メートルのイーグルパットをねじ込み、大田和に1打差に迫る。9番では、2打目を大田和より先に打った阿部がピン右2メートルにナイスオン。大田和に無言のプレッシャーをかけるが、負けじと大田和もグリーン手前からチップインバーディー。しかし、阿部もこのバーディーパットを決めて、大田和に食らいつく。
勢いに乗る阿部は、10番も一気呵成に攻めに出る。グリーン手前からのアプローチを強気に打って、ピン奥2.5メートルに。「阿部選手は、ここが勝負ところだと感じたと思う」とこのアプローチを見た大田和は警戒心を強めた。2メートルのバーディーパットを残す大田和の前に打った阿部のバーディーパットは、無情にもホールをかすめた。茫然自失にしばらく立ちすくむ阿部。これを見た大田和は、着実にバーディーパットを決めて見せた。一方の大槻は、7、8番の連続バーディーで大田和に迫ると、前半を2打遅れてハーフターン。10番では大田和同様バーディーを決めて、2打差のまま迎えた11番。ティーショットをアイアンで刻みながら右の林に打ち込んだ大槻は、2打目を左フェアウェーに出すだけ。しかし、このボギーのピンチも3打目をピンハイ3メートルにつけて執念のパーセーブ。阿部も無難にパーセーブしたのに対して大田和が、アプローチをミスしてよもやのボギーと再び大田和との差を1ストローク縮める。
大槻にとって勝負となったのは12番だった、左ドッグレッグのこのホール。大槻はドライバーを手にして、左の林超えを狙った。このショットは、狙いとおりだったが、よもやのボギーを叩いてしまう。このホールでバーディーを奪った大田和を楽にさせてしまった大槻に、逆転優勝を果たす力は残っていなかった。最後まで大田和を追い詰めた二人。「しょうがない」と悔しさをにじませながらも何とか自分を納得させようとする阿部。「2日目までが悪すぎた」と後悔する大槻。体中から発せられる「悔しさ」は、来年リベンジをするしかない。
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