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競技報告
【抜群の集中力を見せた綾田紘子が涙の初優勝】
第3日 競技報告:JGA 写真:JGA
「最後の日本女子学生。最低でも最終ラウンドを最終組でプレーしたかった」と綾田紘子(法政大学4年)。そのラインをクリアして迎えたこの日の綾田は、「自分のプレーに集中できていた」と前半を振り返る。

通算2アンダーパーで首位に立つ柳澤美冴は、3年後輩。同じく首位タイの槙谷香は、名古屋商科大学の3年生と年下との最終組でのプレーも、「2人ともショットが不調だったし、調子も悪そうだった」と冷静だった。スコアはいきなり動く。スタートの1番で槙谷がボギーを叩くと、柳澤も2番でボギー。この時点で3人は同スコアに並んだ。優勝争いのプレッシャーからか、昨日までのプレーが出来ない後輩2人に対して、綾田は7番まで
スコアカードとおりのプレー。「普段とおりのプレーが出来た」とゾーンに入っていた。7番でボギーが先行し、粘りのプレーを見せていた槙谷に1打差をつけられても「相手のスコアは気にならなかった」と意に介さない。前半を終えて首位をいく槙谷とは1ストローク差。綾田にとってこの差は、無いに等しいものだった。

後半に入るとショットを乱し始めた槙谷が11番から4連続ボギーで脱落すると、前半38と3つスコアを落としながら、通算1オーバーパーで必死にスコアを守ってきた柳澤と先輩後輩対決となった。12番で柳澤がバーディを奪い、綾田と同スコアで並ぶと、直後の13番で85ヤードの2打目をピッチングウェッジで1メートルにつけた綾田がバーディを奪い返し、柳澤を突き放しにかかる。2人の争いは、綾田の1打リードで迎えた15番パー3でクライマックスを迎える。ティーショットを左バンカーの縁に打ち込んだ柳澤に対し、綾田は7番アイアンでピン3メートルに乗せる。柳澤がパーパットを外したのを見届けた綾田は、このフックラインを決めて、柳澤との差を2ストロークに広げた。「15番のバーディとボギーは大きかった。自分がバーディを獲れば、残り3ホールを楽にプレーできると思った」と、会心のパットを振り返る。

しかし、日本女子学生のタイトルを簡単に手にすることは許されない。17番パー5で2オンを狙った綾田は、このショットを右の林に打ち込むミス。3打目のリカバリーショットは、グリーン手前にバンカー、ホールはそのすぐ先に切ってあり、ロブショット気味に打ちたいシチュエーション。しかし、上方に木の枝が生い茂り、その下を抜くしか方法は無い最悪の状態だった。「ここでボギーを打つのは絶対に嫌だった」綾田は、枝の下を通し、グリーン奥に3打目を運ぶ。そこからのアプローチを寄せてなんとかパーで凌いだ綾田は、2打のリードを守って最終ホールに入った。18番、50センチのパーパットを決めた綾田に、仲間が歓喜の声を上げるまで、「自分が優勝したことがわからなかった」と、集中していた綾田。アテストを終えて、同じ大学の仲間に祝福を受けるうちに、自然と涙がこみ上げてきた。

2007年の日本女子アマで優勝して以来、彼女にかかるプレッシャーは日増しに大きくなっていた。2008年にはナショナルチームメンバーにも選考され、日本代表として国際競技にも出場。結果を求められる立場になった時に、怪我に見舞われる。「昨年は、自分でも成績を残したいと思ってプレーしていましたが、思うようにならなかった。自分のゴルフ人生で初めてといえるほどの辛い1年だった」と、苦しい胸の内を明かした。しかし、「悩んでいる自分を励ましてくれた仲間。支えてくれた家族。昨年は、辛いことも多かったけど、自分に大切なものを気づかせてくれた1年でもあった」と、笑顔を見せる。

最後の日本女子学生で綾田が見せた集中力と、勝負強さは、昨年の経験が無ければ生まれなかっただろう。一皮向けた綾田が次に挑むのは、10月に我孫子ゴルフ倶楽部で開催される日本女子オープン。過去3度出場の女子オープンだが、1度も予選突破を果たしていない厚い壁が待っている。会場の我孫子ゴルフ倶楽部も「昔、関東女子アマでプレーしたことがあるのですが、85を叩きました。バンカーが深くて、難しい印象しか残っていません」と、一瞬表情を曇らせる。しかし、同年代で既にプロとして活躍している有村智恵や服部真夕と同じ舞台で争える貴重な機会を楽しみにもしている。

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