「ショットがめちゃくちゃだった」という山口現朗を救ったのは、30年培ってきたアプローチの技術だった。殆どパーオンを逃す苦しいプレーの中で、グリーン周りからのアプローチで秘伝の技を使って、必死にパーセーブを見せた山口。この日は2バーディ・4ボギーの74にスコアをまとめ、6位タイにつけた。好スコアの要因となったアプローチとは、「7番アイアンや8番アイアンを使うのだけれど、グリップを短くもって、球の近くに立つ。そうして、クラブフェースのヒールを浮かせて、パットと同じストロークでフェースのトゥでアプローチする」もの。この技を駆使して、16番では24ヤードのアプローチを直接ホールに放り込み、チップインバーディを奪って見せた。これまで関東アマなどに出場してきた山口も、齢を重ね本選手権初出場。「若いころは、ミッドシニアなんて…という気持ちも正直あったけれど、自分がこの歳になって、こういう試合があることの意義が実感できた。やはり、競技者としての目標があるということは嬉しいことだし、ゴルフを永く楽しめるというのは本当に嬉しいこと。目標のひとつにしている大会で自分の力を100%出し切ること…それが出来れば…」と、冷めぬ競技への情熱を話してくれた。
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