3アンダーパーの69でトップタイのスタートとなった髙橋恵(佐久平CC)は、佐久長聖中学の2年生。172センチの長身で得意クラブはドライバーだというロングヒッターだ。
日本女子アマは、今回が初出場になる。関東女子アマ10位タイで本大会への出場権を手に入れた。そのときから意識していることがあるという。「とにかく、早く日本女子アマに出場したかった。あまり時間が残されていなかったから…」
中学2年生で、時間が残されていない?
もちろん、これにはワケがある。ずっと気になっていた記録があった。それは日本女子アマの最年少優勝記録。宮里美香の14歳8カ月だ。
「私は、この7月で14歳になります。ですか
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ら、宮里美香さんの記録を更新する機会は、今大会しかなかった。絶対に、更新する。それを最大の目標にしてやってきました」
北海道の芝生は柔らかく粘る。ラフからの処理が難しい。髙橋は、練習ラウンドで、そう感じていたという。だから慎重にスタートしてフェアウェイをキープし、丁寧にパーオンを重ねていくつもりでいた。3番ホールでラフに打ち込んでしまった。第2打もグリーンに乗せきれずにアプローチショットでピンを狙うことになった。このショットがダルマ落としのようになって「やっぱり、北海道の芝生は難しい」となるのだが、これが一つの分岐点であった。続く4番ホールで同じような状況を迎え、今度はしっかりとボールコンタクトしてピタリと寄せられた。
「あのパーで気持ちが落ち着きました。前のホールは大失敗。次はうまくいった。ギャップが大きかった分だけ、落ち着きへの戻り幅も大きかったと思います」
さあ、ここからは平均飛距離270ヤードというパワフルで積極的なゴルフ全開だ。162ヤードの5番パー3ホールは「7番アイアンのコントロールショット」でピンそば1メートルに。7番パー5ホールでは2オンこそ逃したものの花道からピンそばに寄せた。続く8番パー3(160ヤード)は、7番アイアンでまたもや1メートルにつけた。
インに移っても12番でバーディーを加え、圧巻の14番パー5ホールを迎える。
「2オンを意識して、ちょっと力んでしまった」というティーショットは左ラフへ。ここからは7番ウッドで冷静にレイアップし、第3打はピンまで40ヤードのアプローチショットとなった。これをロフト58度のサンドウェッジで直接カップに放り込んでのイーグルだ。
「同じ組の選手が同じような距離から先に打ってピンをオーバーしていきました。風もフォローで、思ったより転がる。そう思って自分は抑えて打ちました。はい、いい手応えがあり、ピンそばにいった確信しましたけど、入るのまでは予想できませんでした」
これで5アンダー。悔やまれるのは終盤の16、17番ホールを連続ボギーにしてしまったこと。「16番で3パットして、そのショックを17番まで引きずってしまいました」
ホールアウト後も、イーグルより、この連続ボギーを口惜しそうに振り返ったのが印象的だった。「ミスは仕方がないと思ってます。でもそのミスを次のホールまで引きずってしまった自分が許せません。だから、69というスコアは満足ですがゴルフとしては納得していません」
目標が高いからこそ、自分にも厳しくなるのだろう。そして、インタビューでの受け答えを振り返って、この選手が、まだ中学2年生だということにも改めて驚きを禁じ得なかった。
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