今年の大田和桂介のプレーには、どこか余裕すら感じる。落ち着きがある。精神的にも肉体的にも、幹がしっかりとしているように見えた。
「えー、そうですか。それは嬉しいです。自分では余裕なんてないんですけど、ただ、言えることは、自分のリズムを崩さない、壊すことをしない、ということを心がけています」
予選の２日間も「スコアを出そうというよりも、まずリズムを乱さないようにとやっていたら、結果的にスコアがついてきたという感じですね」と語る。
マッチプレー１回戦で、大田和は時松源蔵と対戦した。時松は、高校２年生でありながら、しぶとい。しかも、巧みなゲームをする選手だ。その時松が「大田和さんのゴルフは、素
晴らしかったです。僕は、まだまだだと改めて感じさせられました」と言った。
２回戦…。大田和は、１回戦で伊藤誠道を破った古田幸希と対戦した。
出だし、１番ホールで、いきなり古田にとられ１down。「相手がバーディで、自分はパーでしたので、焦りはまったくありませんでした」３番ホールで、今度は大田和がパー。古田がボギーで、オールスクウェアに戻した。
４番ホール（200ヤード・パー３）。前半のキーポイントは、このホールにあったと、大田和は分析した。
「第１打が、バンカーに入って、しかも目玉だったんです。なんとか出して、残りが３メートルの距離。相手は、間違いなくパーがとれる。ですから、なんとかこの３メートルを入れたいと思って打ちました」その１ストロークが決まって、パー。オールスクウェアで５番ホールへと向かった。「僕にとっての前半の山場は、この４番ホールでした」と言った。時松がいう「（大田和さんは）勝負どころの３メートルは、必ず入れる」というゴルフを見せた。
続く５番ホールをとり、８番ホールもとって、前半を２upで折り返した。
後半のピンチは、10番ホールだった。第１打を左にひっかけてミス。結局、相手もミスがあり、グリーン上の勝負となった。相手の古田は、５メートル。大田和は、4.5メートル。それをお互いに入れて、パーとして分けた。
「苦しいときは、我慢すれば、きっといつかチャンスはくる」大田和は、その言葉を噛みしめていた。11番で３up。そして14番で４up。さらに15番で５upとし、結局５and３で、大田和が勝ち、ベスト８へと進んだ。
「実は、２回戦では、ボギーもバーディもなく、全部、パーだったんですよ。自滅しないように、ボギーを打たないようにというゴルフが、そのままできたのでとても嬉しいですね」
「明日も、やはり同じに、自分のリズムを乱さないで、すべてを出し切りたいですね」大田和にとっては、おそらくこれが最後の日本アマになる。彼は、その日本アマで、精一杯楽しみたいと言った。
楽しむゴルフ…選手にとって、それは、自分のゴルフを出し切って、最後まで諦めないで戦い続け、戦い終えることだという意味である。
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