「2ストロークビハインドぐらいのほうがいいな」とホールアウト後につぶやいたのは、伊藤誠道(湘洋中3年)だ。この日伊藤と並んで首位タイでスタートした比嘉一貴(具志川中学3年)が前半で2アンダーパー、通算7アンダーパーまでスコアを伸ばしていると途中で聞いていたからだ。伊藤はこの日、10番からスタートし、スコアを伸ばしたいインで1ボギーの1オーバーパー38とスコアメイクに苦しんだ。アウトに回ってからやっと3バーディ・1ボギーの2アンダーパー34と盛り返し、この日1アンダーパー72で回り、通算6アンダーパーでホールアウトした。この時点では比嘉のスコアはわからず、当然インでもスコアを伸ばしているだろう、
と予測し、自分は2位と思っていたのだ。「追う方がいいでしょう」と自分を言い聞かせているようにも見えた。
ショットの調子は「抜群に」よかった。そこに思わぬ落とし穴が待ち構えていた。インのホールロケーションがグリーンの手前や奥ではなく、中間ぐらいにきってあるホールが多かった。そこで思わず「調子に乗って」ピンを直接に攻めていった。が、これが罠だったのか、ボールは「全部奥に行ってしまい」バーディを獲ることができなかったのだ。「誘われて」攻めていったのが、まんまと術中にはまってしまった。
ハーフターンで40分ぐらい待ち時間があり、そこで「コースと戦うのではなく、自分のゴルフをやろう」と気持ちを切り替えた。1、2番とセオリーどおりというのか手前から攻めていき、パーを続けると、3番でこの日初めてのバーディを獲ることができた。これでこの日はイーブンに戻したことで、気持ちが落ち着き、後半のナイスプレーにつなげることができたのだ。
実はスコアを伸ばすだろうと思われた比嘉も後半に2つスコアを落とし、結局通算5アンダーパーでホールアウト。終わってみれば、伊藤が2位に1打差を付けて単独首位に躍り出た。大会前から優勝候補の大本命といわれていた伊藤が、念願のタイトルに王手をかけた。最終ラウンドに果たしてどんな結末が待っているのか…。
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