日本女子アマチュアゴルフ選手権競技や日本シニアオープンゴルフ選手権競技の会場にもなった桑名カントリー倶楽部。ただでさえ難易度が高いこのコースに風速3メートルを超える風が吹きぬけたのだから、スコアメイクもままならなくなるのは必然かもしれない。各地区ゴルフ連盟主催のシニアゴルフ選手権を勝ち抜いた精鋭120人であっても、この日の平均ストロークは80.328。この数値をみてもその難易度がわかるだろう。その中で、単独首位に立ったのは稲垣智久(岡崎)。
10番ホールからスタートした稲垣は、11番(パー5)でアプローチをミスしてボギーを叩くと、続く12番(パー3)もパットをミスして連続ボギーとする。しかし、ここから稲垣は16番までパーを積み重ねると、17番(パー5)でセカンドショットをグリーン手前に運びアプローチを50センチに寄せて、この日初バーディを奪う。いっそう風が強まった後半は1番(パー4)で3パットのミスからボギーとしたが、直後の2番(パー4)で5メートルのフックラインを読みきってバーディ。7番(パー5)でもスコアを伸ばすと、8番(パー3)ではグリーン右のラフから8番アイアンでチップインを決めて連続バーディを奪い、1アンダーパーで最終ホールを迎えた。このまま唯一人のアンダーパーでホールアウトするかと迎えた9番ホール。セカンドショットをグリーン近くまで運んだ稲垣は、アプローチでよもやのシャンク。このホールをボギーとして、4バーディ・4ボギーの72、イーブンパーでホールアウトした。
「いやあ、今日は2つもシャンクが出たよ」と苦笑いを見せる稲垣。「風は気になったけれど、ドライバーショットの飛距離が出たから、スコアをまとめられた。ショットはよかったね」と満足げな表情。地元中部地区から出場の稲垣は、「桑名CCは、何度もプレーさせてもらっていて」と地元の利を生かした格好。しかし、「このコースは、本当に難しい。特にセカンドショットの距離感を合わせにくくて」と決して得意ではないと言う。
単独首位スタートにも、「まだ18ホールが終わっただけ」と素っ気無いが、2007年から連続4度目の本選手権に「特に緊張することもなく、落ち着いている。それがプレーにも出ているのかな」と相好を崩す。2007年大会で7位タイ、2009年大会6位タイと好成績を残している相性の良い日本シニア。そろそろ日本タイトルを手に入れたいところだろう。
今年、その絶好のチャンスが訪れている。
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