昨日からの雨は、この日の午前中も時折、針のようにコースに降り注ぐ。雨によってティーショットはランが出ない「重馬場」の状態でコース攻略を有利にするのは、飛距離だ。長く陸上競技者として活躍してきた三木逸子(土佐)と阪本知子(レイク浜松)が、首位と2位タイにつけているのも、納得がいく。
前人未到の大会4連覇がかかる三木は、昨日の豪雨の中で練習ラウンドを強行。「パー3と5番ホール以外はティーショットでドライバーを使った」昨日は、OBを叩くなど自慢の飛距離が裏目に出ていたという。しかし、この雨が三木の戦略を変えさせる。「練習不足で調子も良くないのですが、この雨で慎重にプレーすることを心がけた」とい
う三木は、1、2番で連続ボギーを叩くものの、4番のティーショットで5番ウッドを手にする。確実にフェアウェイを捉えたティーショットは、ピンまで残り100ヤード。ピッチングウェッジの2打目はピン左2.5メートルについて、バーディを奪った。だが、今日の三木はグリーンを狙うショットの距離感が合わずに、スコアメイクに苦しむ。
5番でボギーをたたくと、後半の11番では6番アイアンのティーショットが「当たりが悪くて」左にミスしてバンカーへ。このバンカーショットをトップした三木は、3オン・2パットのダブルボギーを叩いてしまう。この後、14番で2メートルのパーパットを外してボギーとすると、最終18番では、下り傾斜を怖がって1メートルのパーパットをショートさせてボギーフィニッシュ。この日の三木は、1バーディ・5ボギー・1ダブルボギーの78。それでも、6オーバーパーで2位に2打差の単独首位に立ち、大会4連覇に王手をかけた。「この雨では、70台でプレーできれば、上出来だと思っていた」という三木。思惑通りのスコアで、4連覇の偉業に大きく前進した。
三木の4連覇阻止の一番手と目されている阪本は、8ボギーの80でホールアウト。予想とおり三木に2打差の2位タイで逆転を狙う。2番ホールで1メートルのパーパットを外してボギーが先行した阪本は、続く3番で上り傾斜の4メートルのバーディパットを30センチほどに寄せる。「お先に入れます」そう言って何の気なしに打ったパーパットは、カップの淵をかすめて、よもやの連続ボギー。
阪本は、このミスで流れを悪くしながらも、粘りのプレーで2位タイにつけた。「自分は晴れた日に練習ラウンドをしたんですが、そのときのタッチが記憶に残っていて…昨日からの雨でグリーンが重くなっているとわかっていたのに、短いパッティングを怖がってしまった」と残念がる。
過去4回、優勝争いに絡みながらも、グリーン上で苦しみ優勝杯を逃してきた阪本。4度目の優勝争いとなる明日は、最終組でライバルの三木と直接対決となる。「決して調子が良いわけではないけれど、三木さんと自分でワンツーフィニッシュを決めたい」自分が勝ちたいとは言葉にしなかった阪本だが、「今度こそ」という気持ちも強いだろう。女子シニア界を牽引してきた2人の争いは、10時3分にスタートする。
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