2打差の首位タイで最終ラウンドをスタートした三木逸子(土佐)。三木は、前半から好調なショットとパッティングでスコアを伸ばす。4番で2.5メートルを決めてバーディが先行すると、6番で2メートル、7番1メートル、8番1.5メートルを沈めて圧巻の3連続バーディで、ライバルの阪本を突き放す。前半で4つスコアを伸ばした三木は、このまま独走で大会4連覇に猛進するかと思われた。
しかし、三木本人はかすかな不安を感じていたという。「調子自体は決してよくない。前半はパットが入ってくれたけれど。後半は後半。きっとピンチも来る」と覚悟をして後半のラウンドに臨んだという。
そして、その後半はまさに三木の危
惧が現実となる展開になった。「苦手」という11番でティーショットを右バンカーに打ち込んだ三木は、バンカーから寄せきれずこの日初めてのボギーを叩くと、続く12番もピン奥からのパーパットを外して連続ボギー。14番では、グリーン手前のアプローチをトップしてグリーン奥に。このホール4オン・2パットでダブルボギーを叩いて、前半の貯金を使い果たしてしまった。
15番で「ちょっとパンチが入った」6メートルのバーディパットが決まりバーディを奪うも、16番で再びボギー。粘りのプレーを見せていた阪本が17番でバーディを奪って2人の差は1ストロークに縮まった。それでも、三木に焦りはなかった。「17番で阪本さんとの差を確かめたんです。自分は、優勝争いのピリピリした緊張感が大好きで、最終ホールで絶対決着をつけると気持ちが高ぶった」と話す。その18番、さすがの三木も緊張したのか2打目を大きくダフって、81ヤードの3打目を残す。
昨日は距離感が合わなくて奥につけて下りの1メートルのパーパットをショートさせた三木は、「今日は絶対に奥にはつけない」とサンドウェッジで2段グリーンの下の段、4メートルに3オン。同じく3オンしていた阪本がバーディを逃した時点で、2人の争いはほぼ決着がついた。この日の三木は、5バーディ・3ボギー・1ダブルボギーの72。パープレーで終了し、大会4連覇に華を添えた。
三木の飛距離、ショットの切れは、女子シニアでも群を抜き、向かうところ敵なしの状況だ。それでも三木は、「女子シニアに出場される選手は、同年代ですが、皆さん本当にお上手だし、練習されている。皆さんとプレーできることが自分のゴルフの励みになっているし、本当に楽しみです」と、謙遜する。特に今年も優勝争いを演じた阪本の存在は、三木にとって貴重なもの。
「学生時代の陸上競技では、阪本さんは全国大会で優勝されるなどライバルなんて言える存在ではなかった。ゴルフに転向して、ようやく阪本さんと争えることが出来て。今日も、本当に楽しくプレーできた」と充実した笑顔を見せる三木。「来年の5連覇。これを一番の目標にこれからもがんばっていきたい」自分を高めてくれるライバルの存在が、三木のゴルフ人生を充実させている。
来年の大会で、再び三木と阪本に熱戦を見せてもらいたいものだ。
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