2打差2位タイで最終ラウンドをスタートした阪本知子(レイク浜松)。昨年の本選手権に続いて、三木との最終日最終組での直接対決は、最後まで優勝杯の行方がわからない白熱した戦いとなった。前半、先にチャンスを迎えたのは追う立場の阪本。
3番で2.5メートルのバーディチャンスを迎えた阪本は、慎重にラインを読んでパットを打つ。しかし、「このパットが読みも強さも全然合わなくて」チャンスを逃して首をかしげる。ウィークポイントであるパッティングに今日も悩まされるのかと思われた阪本を救ったのは、キャディーの存在だった。「今日、最終組についてくれたキャディーさんが、とても優秀な方で。パットのラインの読みが本当
|
|
に完璧」と、強い味方を得た阪本は4番で1メートルのバーディパットを沈めると、7番では下り2メートルのバーディパットを決めて前半で4つスコアを伸ばす三木に追いすがる。
ショットの調子はいまひとつの阪本は、後半12番でボギー、14番でダブルボギーを叩くが、トップをいく三木も同じようにスコアを落としたことも奏功し、三木との差は3ストロークで踏みとどまっていた。ここから阪本が驚異の粘りを見せる。15番(パー3)は、9番アイアンのティーショットが、8メートルにグリーンオン。「キャディーの読み通りに打った」バーディパットは、見事にホールに沈んだ。
17番では、5メートルのスライスラインをねじ込んで、ついに三木との差を1ストロークに追い詰めた。「でも、自分では、三木さんとの差なんて全然わかっていなかったし、知ろうともしていなかった。不意に、周りの方から三木さんと並んだかもといわれて…ちょっと緊張しましたね」と苦笑いを見せる。そして迎えた勝負の18番。
ティーショットを右フェアウェイに運んだ阪本は、2打目をグリーン手前110ヤードに打つ。ここからの3打目。ショットが万全な調子ではない阪本は、「ピンを狙うと苦手なバンカーに打ち込む可能性もある。ここは、安全にグリーン左サイドに乗せられれば」と9番アイアンで狙い通りに3オン。決めれば三木と同スコアになる5メートルのバーディパット。キャディーと必死にラインを読んで打ったこのパットは、無情にカップの左をすり抜けた。
三木がウィニングパットを沈めた瞬間、阪本は三木に歩み寄り、健闘を讃えあって抱擁した。「三木さんは仲間であり、友人であり、好敵手。そんな三木さんと最後まで優勝争いが出来て、本当に楽しかった」2位に敗れた悔しさよりも、三木との優勝争いを心から楽しめた充実感で一杯の表情を見せた満足の笑顔だった。
|