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競技報告
【進化の階段を一歩ずつ登る松山】
第1日 競技報告:三田村昌鳳 写真:Gary Kobayashi
松山英樹(東北福祉大)は、スコアカード提出所で顔が強ばっていた。上がり2ホール、17、18番ホールでのボギーが原因だったに違いない。出だしの2番ホール、パー5。そこでバーディをとり、続く4番でもバーディ。5番でボギーにしたものの、アウトは手堅く1アンダーパー。折り返した10番ホールでバーディ。さらに14、15番とバーディとして通算4アンダーパーまでスコアを伸ばした。これは、おそらく計算通りの流れだったに違いない。ところが、17、18番とティショットをミス。そしてパッティングも決まらずにボギーが連続した。

スコアカードを提出すると、すぐに練習グリーンに走った。さらに打球練習場、そして再び練
習グリーンと、まるで自分に言い聞かせるような練習を繰り返していた。記者のインタビューを敢えて振り切ったわけではない。練習できる時間が、午後6時までと決められており、テレビのあと活字媒体のメディアのインタビューまでこなすと、練習する時間がなくなる可能性があったからだ。

「最後の2ホールが惜しかったね」という記者団の質問に、松山英樹は「いえ。今日は最初からパッティングの調子がいまいちだったんです。それをなんとか誤魔化して、というか繕って凌いできたのが、凌ぎきれなかったということだと思います」と語った。

4月のマスターズで、日本人アマチュア選手として初出場。そして予選突破。さらには、マスターズのローアマチュアとなり日本のゴルフ史に残る快挙をやってのけた松山英樹。あれから3ヶ月が過ぎようとしている。松山自身は「あまり変わらないです」と飄々とした表情で話すけれど、実際、メディアの取材などその周辺の環境は一変しているはずだ。

「いや、ちゃんと(阿部靖彦)監督がやって(ガードして)くれていますから、大変なのは僕よりもむしろ監督だと思います」と言う。
5月中旬。松山にインタビューしたときは「ほとんどゴルフをしていないんです。トレーニングが主ですね、いまは…」と言って、体重もかなり増え、筋肉もパンパンに張っていた。その身体を絞って、スイングを調整し、この大会に向けてきた松山は、確かに昨年に比べれば太ったけれど、それはむしろひと回り大きくなって逞しさが増したという印象だった。

「たぶん、いまは80キロほどあると思います。昨年よりも6~7キロは増えていると…少し意識的に食べています。自分が、どうやったら上手く慣れるのだろうと、ね」と、まさにひと回り大きな、太いゴルフを目指しているという口調だった。

ちょうど松山が前半9ホールを終えて10番ホールのティショットを打つときに、すでにホールアウトした小袋秀人が、彼のティショットを見に来ていた。そして松山が打ち終えるなり「あっ、スイングが変わってる」と呟いた。松山本人は「うーん。どうなんでしょうね」と濁していたが、おそらくスイング改造にも着手していたのだろう。それが「飛距離と安定性を求めるためにいろいろ…」試行錯誤しているというひとつに違いない。
松山のゴルフも肉体も意識も、マスターズのときよりは確かに違ってきている気がする。それは、格段の違いではないが、1枚1枚積み重ねていくような地道な、見えにくい成長であると思うのだ。それは一般的に表現される「マスターズのローアマチュアとして恥ずかしくないプレー、選手」という後ろ向きな形容詞ではなく、さらなる進化をするための大きな1段がマスターズのローアマチュアだったという過去形として消化されているからだろう。

彼が、次にどんな風に階段を、また一歩上がっていくのか愉しみである。

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