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競技報告
【予想外の混戦となった第1ラウンド。その背景には2つの妙味が】
第1日 競技報告:三田村昌鳳 写真:G.Kobayashi/JGA
第1ラウンドを3アンダーパーの69でホールアウトして2位タイの藤本佳則(東北福祉大4年・ゴルフ部キャプテン)は、自分の今日のゴルフを「80点」だと言った。同じ大学の富村真治は、1アンダーパー71で13位タイ。その彼は「惜しいラウンドです。でも、コースは綺麗だし、震災以降サポートしてくれた人たちがいるからプレーできると思っていますから、そのことを思えば、惜しいとは言えません」と、悔しさを自分の中で溶解するように言い聞かせていた。

震災の影響で、富村の通う東北福祉大がある仙台の利府ゴルフ倶楽部から、急遽開催コースが変わり、この名古屋の三好カントリー倶楽部で開催できたという悦びと感謝の気持ちが
伊藤誠道
、そう言わせたのかも知れない。
「コースセッティングは、通常の日本アマ仕様に比べると、ラフの長さやフェアウエイの狭さ、グリーンのスピードなど、比較的易しく見えるんですが、かえってそれが落とし穴になっているのかも…」と言うのは、1オーバーパーで32位タイの金子光規である。
2日間、36ホールで争われるクオリファイングラウンド。その上位32名が翌日に残れる。第3日からはマッチプレー方式。通常の72ホールのストロークプレーの戦いとは、少し雰囲気が変わる。

どうやったら着実に32人に残れるか…冒険しすぎても、堅実になりすぎてもいけないゲームの妙がある。冒険が危険に豹変すれば、翌日の18ホールで挽回できる範囲を超えてしまうこともある。着実に守るというプレーほど、難しいものはない。
従って、選手たちは、ある程度自分と32人以内のスコアを想定しながらプレーしていかなければならないのだ。そして、第3日に残れば、今度は、ホールごとのマッチプレーになるから、自分と相手のゴルフをみながらゲームの駆け引きが繰り広げられる。

藤本の言う「80点」というのは、もちろんスコアそのものもあるけれど、自分がどんなゴルフの内容で69のスコアを出せたかという評価にも繋がっている。

金子と同じ1オーバーパーの73で32位タイにつけた浅地洋佑(鷹)は「1日4アンダーパーというイメージでラウンドしていたのですが…2番ホールのダブルボギーで出鼻を挫かれました」と悔しがる。「メダリストを狙っていたのですが…」と一瞬、落ち込んだ気持ちをすぐさま修正して、その後4バーディ・3ボギーでまとめるあたりが、浅地の成長度合い見て取れる。

高校1年生になった伊藤誠道(杉並学院高校)は、2オーバーパーの43位タイ。ほとんどがドライバーショットのミスだったという。「ちょっと気分のゴルフをし過ぎました。明日は、少し謙虚なゴルフをします。ともかくイーブンパーに戻して32人以内にはいることです」と言った。
72のイーブンパー、21位タイの小袋秀人(日本大)は、5バーディ・2ボギー。そして6番ホールでのトリプルボギーが1つという内容。

選手たちの話を聞いていると、金子の言う落とし穴がよく解る気がする。このコースでは、ホールレイアウトの組み合わせとホールロケーションの位置の妙味で、波に乗せるというプレーをなかなかさせてくれないのだ。うまく並に乗れそうと思うと、それを阻むホールに出くわす。ボギーとバーディの繰り返しや1ホールでのトリプルボギーというスコア内容が、まさにそれを証明しているのだと思う。

伊藤の言う「気分なゴルフ」と「謙虚なゴルフ」の表現は、自分をどうコントロールするべきかを語っているわけである。
「ラインをしっかり出せる選手が、ここでは好スコアを出すでしょうね」と金子は付け加えた。それは、見た目でフェアウエイが狭く、ここしか狙うところがないと教えてくれるセッティング以上に、多少ノリシロの幅がありそうにみえてしまうセッティングの難しさであろう。

第1ラウンドが想像以上の混戦となったのは、そんな背景があるからだと思う。13位タイの1アンダーパーに8人。21位タイのイーブンパーに11人。さらに32位タイの1オーバーパーが11人。そして43位タイの2オーバーパーが17人…。32人(32位タイの選手がいる場合は、プレーオフで1人に絞られる)しか残れないマッチプレーを賭けた予選ラウンド。彼らにとって、明日の1打1打は、まさにタイトロープの1打になるに違いない。

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