藤本佳則(東北福祉大)は昨年大会の2回戦で敗退していた。相手は高校3年生の渡邉剛志だった。15番ホールで2ypとした藤本が、16番で獲れば勝ちという場面から大逆転負けを喫したのだ。17、18番ととられてオールスクウェア。エキストラホールに縺れ込み、そこでもとられて1downで敗退という苦い経験だった。
「決着がもうすぐ着くな、ここを獲ればドーミーだなっていう展開になってきたときに勝ちを焦ってしまっていたのでしょうね。どっかで守ろうとする意識が働いていたのでしょう。だから、マッチプレーでも勝ちを急がない。18ホールまでの意識を持っていくようにしたんです。そしたら気持ち的にゆとりがでると思っ
て…」
1回戦では、大塚智之(川越)と対戦し、3and2で勝ち。そして2回戦は、韓国のSang-Yeop Leeとは3and1で勝った。
藤本の言う「焦らず18ホールまで縺れてもいい」というスタンスが、2つのマッチでよく出ていた。1回戦は、6番ホールまでで3up。そこから無理に自分から仕掛けにいかない。むしろ生け捕りにするように、じっと様子をうかがいながらの戦いだった。そのまま16番ホールまでずっと分けでの3and2。
そして2回戦は、前半を終えて2up。10番でとられて1up。12番で2up。13番で3up。そこから取りつ取られつが続く。16番で2up。藤本は、それでも焦らずに結局17番で相手のミスを誘い3upとし、3and1でベスト8へと進出した。
後輩の松山の敗退について「だからマッチプレーは怖いんですよ。実力のある選手でも、どうなるか解らないんですから…」と言う藤本の表情には、強い意思を感じた。
|