選手権で戦うことで、選手は成長する。それは苦悩も含めて、その選手のゴルフを左右する場面が必ずあるのだと思う。昔から、勝った試合よりも、敗れた試合こそ学ぶべきことが多い、と言われる。勝てば、運もミスも帳消しにしてしまう一瞬の歓喜しか残らないからだ。
伊藤誠道(杉並学院高校)が日本アマに登場して、決勝戦まで戦ったのが2年前のことである。相手は、宇佐美祐樹だった。伊藤は中学2年生だった。そこで伊藤は、決勝戦の緊張感を学んだ。
さらに翌年、やや増上慢になっていた伊藤が、再び日本アマに挑戦して、今度は、1回戦で敗退した。
「自分は強いんだと思って慢心していたんですね」と、高校1年生にな
った伊藤は自分を振り返った。
伊藤は、内藤雄士コーチの門を叩き「もう一度、始めからやり直そう」と決心した。スウィングの基礎からやり直し、スウィングの山をもう一度登り始めた。そして同時にゲームの山も登り始めたのである。
1回戦で、長谷川祥平(広島紅葉)を7and5の大差で破り、2回戦では、本年大会マッチプレー進出選手の最年長42歳の金子光規(レインボー)と対戦した。
「1回戦は、ツキが僕にあったのだと思います。その流れを壊さなかったので大差になっただけだと思います。2回戦の金子さんは、同じ神奈川で、上手い、しぶといゴルフを何度も見ていますから、ともかく、我慢我慢の我慢対決になると思っていましたから…内容的には、オールスクウェアだったと思います。でも…ゲームの流れの天秤が、自分の方に来ただけだと思っています」と伊藤は言った。
明日の準々決勝では、浅地洋佑(鷹)と対戦する。同じ内藤コーチに学び、同じ杉並学園の先輩である。「勝ちたいですねぇ。僕にとっては、明日は最もしんどい1日になると思いますね。できることならギャラリーで見ていたい(笑)」
明日は、浅地も伊藤も、負けられない対戦になる。
|