午前の準々決勝で比嘉一貴(阿蘇)を4and3で勝ち抜いた古田幸希(十和田国際)と、石徳俊樹(広島国際)との対戦で20ホールまでもつれ込んで勝ち抜いた櫻井勝之(明治大)の準決勝。
体力的には、18歳で15ホールしか回っていない古田のほうが有利と感じる。さらに2回戦で松山英樹を倒したという勢いもある。
櫻井は、その勢いと上手さを無視できなかったという。
スタートから6番ホールまでの間で、櫻井が4upとリードした。そのとき古田は「半分は自分のミスでとられている」という意識で、そのミスを修正すれば「まだ取り戻せる」と思った。一方、櫻井は「あれ?」と4upに戸惑いすら感じた。でも気を引き締めよ
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うという気持ちになったのは、やはり松山英樹を倒した選手という事実だった。
二人の微妙な心の動きが、7、8番に出た。古田が2ホール獲って櫻井は2upまで戻された。
それでも折り返しの10番ホール。櫻井は、落ち着いた行動をしていた。水筒に水を補給するほんの些細なことでも、古田が第1打を打ち、自分が打ち終わってから補給した。打つ前にリズムを崩さなかったのだ。
その10番を櫻井がとり3up。すかさず古田が取り替えして2up。そのまま14番まで勝負は動かずに15番で、古田がとって櫻井は1upと詰め寄られた。
勝負の流れを決めたのは、やはり16番だった。櫻井の第1打は、右の深いラフにボールが埋まった。出すだけでも難しい場面で、櫻井はふと思った。
「久しぶりに、あんなに深いラフを経験したんですけど、実は、そういうラフからのアプローチを何度も練習してきていたので、自信もあったんです」という。彼は、見事に1.5メートルに寄せて、パーとし、古田と分けた。もし、あの場面でうまくラフから寄せきれなければ、おそらく流れは古田に向いただろう。
17番ホール。古田はボギーとしたのに対して櫻井は、パーとして2and1で勝った。
「昨年の暮れからトレーニングを週に3回始めたんですよ。ですから体力が付いてきていることは確かです。それまでと同じ練習量をこなしても疲れないですから、もっともっととやりたくなるし、体幹も太くなってきていると思います。昨年の日本学生のタイトルは、ほんとに運よく勝てたという気がします。でも、そのタイトルが獲れたことで、日本アマも勝ちたいという欲がでてきたのも確かです」
飛距離だけでなく左右のブレ幅も狭まった。それに、この猛暑の中でも、まだ体力の限界までは行っていないという余裕が動きに感じられる。
「確かに昨年の日本学生で藤本君に勝っていますが、大学ゴルファーの中でもトップクラス。チャレンジ精神で臨みます」という櫻井。この二人の決勝マッチは、見ごたえがある。
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