川村昌弘(福井工業大学付属福井高校3年)は、ほぼ完璧に近い内容のゴルフを展開した。2番ホールで5メートルのバーディパットを沈めると、5番ホールはバンカーから50センチに寄せてバーディ、さらに9番では第3打のアプローチを3メートルに寄せてバーディと、前半を33でまとめた。
後半に入ると、10番では1.5メートル、11番は3メートル、14番では15メートルのいずれもバーディパットを沈めた。この日、ミスらしいミスが出たのは15番と16番だった。
いずれもグリーンを外し、アプローチが寄らず、15番では辛くもパーパットを決めたものの、16番では外し、ボギー。このミスがなければ、完璧であったろう。
だが、このまま終わらないところが、今までの彼とは違うところだった。17番では3メートルのバーディパットを沈め、すぐ取り返した。18番のパー5では2オン2パットでバーディを奪い、コースレコードとなる7アンダーパー65をマークして、単独首位に立った。
7月に日本アマチュアゴルフ選手権競技での苦い経験が転機となった。2日間ストロークプレーでは通算9オーバーパーと、マッチプレーに進むことなく、終わってしまった。「日本アマがきっかけで自分を変えたい」と思った。自分で考えたり、知人に薦められた本を読んだりして、「考え方を変えた。ミスをした後の気持ちの持ち方や、いいショットを打ったあとの気持ちの持ち方」など研究し、自分なりに工夫した。
その成果が8月のファーストクォリファイングトーナメントで出た。3日間で13アンダーパーをマークして、2位で通過し「自信になった。自分がやってきたことが間違っていないと確認できた」事がよかった。
川村は会場となる霞ヶ関カンツリー倶楽部・東コースとは、「相性が悪く」苦手意識があった。一昨年の大会では3日間通算8オーバーパーで24位に終わっている。そこで「コースマネージメントを考え」攻略法を変えてきた。ティーショットでドライバーではなく、5番ウッドを多用した。その作戦が功を奏した。
これで単独首位スタート。第1ラウンドはスコアが悪いことが多く、本人も「珍しい」と苦笑い。高校3年生の彼にとっては、今回が最後のチャンスだ。JGAナショナルチームメンバーに2009年から選ばれている選手だが、JGA主催競技では、まだ無冠。それだけに「勝つという強い気持ちを持つ。明日も第1ラウンドのつもりで、第1ラウンドの気持ちで」挑む。2日目も彼のプレー振りが楽しみだ。果たしてスコアをどこまで伸ばせるか。
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