城間絵梨(沖学園高校3年)は、中学3年生で日本ジュニア(12~14歳の部)に初出場した時から、そのポテンシャルの高さから大器といわれ、期待され続けてきた。「とにかく全国大会で勝ちたい。タイトルが欲しい、欲しいと思い続けてゴルフをしてきました」。本人も、なんとか周囲の期待にこたえたい。自分の手で、それを結果として示したいと、戦い続けていた。
気持ちは空回りするばかりだった。飛距離を武器にした攻め一辺倒のゴルフでは、タイトルに届かないのか。守りを重視するプレーも実践してみた。これも、好結果にはつながらなかった。今年もインターハイ、日本女子アマと優勝には縁がなかった。この段階で城間は、もう一度
自分のゴルフスタイルを考え直していた。残る目標は、日本ジュニアの優勝、日本女子オープンのローアマチュア。このふたつの目標に向かって「守っても同じことなら、やっぱり自分らしくアグレッシブなゴルフを徹底しよう」と、決意を固めていたのだった。
この大会、「もったいないミスが何ホールかありましたが」自分本来のゴルフができていた。積極的に攻めて2日間で1イーグル・8バーディー(3ボギー)。「中学3年で初出場してから、これまで一度も納得できるプレーができなかった」という日本ジュニアで、最後の挑戦となる今回、ようやく自分で合格点をつけられる内容のゴルフを展開していた。第2ラウンドを終えてトップタイ。悲願の優勝が見えていた。
迎えた第3ラウンドも攻めのゴルフに徹するつもりでいた。最終組でスタートし、4ホール目をプレー中に中断、そしてそのまま中止が決定した。優勝は、36ホール終了時にトップに並んでいた田口晴菜(東海大付二高校3年)とのプレーオフに賭けられることになった。
雨中のプレーオフ1ホール目。先に打った田口のティーショットはフェアウェイ右サイドをとらえた。
城間は左ラフに。第2打は、その城間が先だった。ピンまで175ヤード。6番アイアンでのショットは手前カラー部分に止まった。田口の第2打は、ギリーン右サイドのバンカーにつかまった。ボールは浅い水たまり状態のライにあった。バンカー内にドロップすることもできたが、それでは目玉状態になりかねない。田口は、そのまま打った。4メートルに3オン。
カラー部分からパターを手にした城間は、カップまで10メートル以上の距離を「どのくらいのタッチで打てばいいのかわからない。雨でボールがどのくらいのスピードで転がっていくのかイメージできなかった」といいながら、「とにかく、自分のカンを信じて」強めにヒット、70センチに寄せた。そして、田口が2パットのボギーにした後、この70センチを決めて悲願のタイトルを掴み取った。
「うれしい。ただ、うれしい。思い切りのいいゴルフがいい方にでてくれて、結果につながりました」
次は、もうひとつの目標である日本女子オープンだ。「しなくてもいいミスをせず、もっと1打に集中する」。それが初優勝とともに、今大会でつかんだ反省点。ローアマチュア獲得に照準を絞っている。
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