今年のシニアオープンローアマチュアに続いて同年でのJGAタイトル獲得を目指した松本新語(久米)。それが実現すれば、尾藤牧衛と阪田哲男に続いて3人目となる偉業は、目前にして夢断たれた。まさに指の間から滑りぬけるように、日本シニア優勝杯を逃してしまった。最終ラウンド。首位に立つ白井との差は2ストローク。前半は白井が2ボギーに対して松本が3ボギー。「ティーショットが全然駄目」と嘆きながら後半のプレーに入った松本だが、ここから真骨頂を見せる。
14番までにスタート時点と同じ2打差に詰め寄ると、15番でボギーを叩いた白井に対して、松本が5メートルをねじ込みバーディ。白井と同スコアで並ぶと直後の16
番では、ピン奥から8メートルのバーディパットを見事に沈めて一気に逆転。17番で2打差とリードを広げた松本の優勝を誰もが疑わなかった。しかし、熊本空港カントリークラブの最終18番は、これまで男女ツアー競技でも多くのドラマを生んできた名物ホール。その18番が、松本に牙を剥いた。残り100ヤードの3打目。左足下がりのライ。松本はこのショットを池に。痛恨のミスで、ダブルボギーを叩き、通算6オーバーパーで再び白井に並ばれてしまい、優勝はプレーオフにもつれ込まれた。プレーオフ1ホール目の17番。ティーショットを左ラフに入れた松本は、2打目を木に当ててしまう。既にパーオンしている白井を追い詰めるために放った3打目はグリーン奥のバンカーに入り、万事休した。白井が50センチのパーパットを入れた瞬間、史上3人目の偉業達成は露に消えた。
「18番で自分が2打リードしているのを知らなかった…それがわかっていれば…」と、悔しさを滲ませながら一人ごちる松本。3日間、好調なプレーを続けた末に逃した優勝という2文字。松本の挑戦は、残念な結果に終わった。
|