今年の日本ミッドアマを終始リードしてきた飯田耕正(ジャパンクラシック)は、最終ラウンドの13番ホールまで、確かに試合をコントロールしていた。1番でいきなりバーディを奪った飯田は、続く2番で3パットのミスからダブルボギーを叩いたものの、4、7番をバーディ。9番で2度目の3パットでボギーを打ったが、前半をパープレーにまとめて2位の田中とスタート時点の3打差リードを保ったまま後半に入った。10番も見事なセカンドショットで1メートルにつけてバーディを奪い、このまま飯田が独走態勢を築き2度目の戴冠を果たすかと思われたが、本人は不安で一杯だったという。「パッティングは良かったけれど、ショットに不安があって
…」という飯田の心配が13番から現れ始める。このホールでティーショットを左に曲げてボギーを叩くと、続く14番(パー4)では、確実にフェアウェイを捉えようとユーティリティーを手にしたティーショットを、まさかの左OB。さらに3パットのミスが重なりトリプルボギーとして通算3アンダーパーにスコアを落とし、田中に並ばれてしまった。15番では下り10メートルのバーディパットを最後の一転がりでねじ込んで再び田中に1打のリードを奪うが、ショットは最後まで定まらず、最終18番でティーショットを左のハザードに打ちこんだ時点で、飯田の2度目の優勝は霧散した。「自分のショットの甘さが最後に出てしまいました。優勝争いをするレベルのショットではなかったし、ここまで粘れたのはパットのお蔭です」と悔しさを噛み殺しながら、言葉少なに敗者の弁を告いだ飯田だった。
「最近、優勝争いをしていなくて、プレッシャーがありました」と語るのは、この日1打スコアを伸ばし2位タイに入賞した井関剛義(交野)。スタートから「今日は悔いなく思い切って攻めていこう」と臨んだ最終ラウンド。その強気が裏目に出たのか、1番、2番と連続3パットのボギーと出だしで躓いてしまった。3番(パー5)でバーディを奪って、「これで一息つけました」という言葉通り、そこから11番までパーを積み重ねる。後半はいくつかのバーディチャンスを逃しながらも、2つのパー5で着実にバーディを奪って、歴代優勝者の意地を見せた。「後ろの組のスコアの動向が気になったり…久しぶりの優勝争いでしたからね。でも、パープレーを目標にプレーしていたので、優勝できなかったのは残念ですが、満足もしています」と話す。終始笑顔を見せていたのは、「弟のような存在の田中選手が優勝してくれて…」嬉しかったから。「田中選手には先にミッドアマを優勝されて、2度目の優勝も先を越されてしまいました。弟みたいな彼だけど、追いかける存在になってしまいましたよ」と最後の笑顔は苦笑いに変わっていた。
この日、追い上げを見せて2位タイに滑り込んだのは、金子光規(レインボー)。通算イーブンパーの9位タイで最終ラウンドを迎えた金子は、前半を1バーディ・1ボギーのイーブンパーで終える。「今週はパットが入らなくて」とぼやく金子だが、余りあるショットの好調さが後半になってスコアに結びつく。11番で2メートルにつけてバーディを奪うと、12番、16番のパー5でもバーディを決めて通算3アンダーパーでホールアウトした。「3日間、もうちょっとパットが入っていれば…」と悔しがる金子だが、「まぁ、ベスト5入りが目標でしたから」と最後は笑顔で会場を後にした。
|