通算1オーバーパー。2位とは5打差とスコアでみれば、圧倒的な強さで成し遂げられた大会5連覇という偉業だが、三木逸子(土佐)は、今日1日苦しみ抜いていた。昨日から引き続きドライバーショットは好調で、殆どがフェアウェイを捉える。しかし、アイアンショットは、「ドライバーショットの調子が良かったので、力が入りすぎたのか…」右へのプッシュアウトと距離感が合わず、グリーン奥や右サイドに外す場面も多かった。
その兆候は1番ホールから見られていた。フェアウェイ中央から残り100ヤードあまりをピッチングウェッジで2オンを狙う。しかし、このショットはグリーン右奥でバーディーチャンスというには、程遠い距離が残
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った。なんとかパーでしのいだものの、2番でボギーが先行すると、4番(パー5)では、3打目をグリーン奥のカラーにこぼし、「今週、調子が悪かった」というアプローチウェッジをやめて「大事をとって」パターで打った4打目がラフに食われて寄らずにボギー。6番でもグリーン奥からのアプローチを寄せきれずにボギーとした三木は、2位との差を2ストロークまで縮められていた。8番で、ようやく3.5メートルをねじ込んでこの日初バーディを奪ったが、9番は1メートルほどのバーディパットを外し、前半で2つスコアを落としていた。
「思うようにスコアを作れず、苦しかった」という前半を終えた三木。しかし、後半ティーオフ直後に転機を迎える。10番(パー3)。グリーン奥のカラーにティーショットを運んだ三木は、「上って下りのスライスラン」という7メートルのバーディパットをねじ込む。このバーディで勝負の流れを引き寄せると、直後の11番では、5メートルのパーパットを決めて、ほぼ勝負を決めた。「優勝を意識したわけではないけれど、プレッシャーは感じ始めた」16番では、あわやダブルボギーのピンチも「終盤でダブルボギーを叩いたら、2位との差がいくらあっても流れが変わる」とボギーパットを必死にねじ込んで、大会5連覇を決めた。
圧倒的な飛距離と技術で他を寄せ付けない強さを見せてきた三木。「本選手権5連覇を目標にしてきた」と偉業達成を素直に喜ぶ。ここから先の目標は、もちろん6連覇かと水を向けられると、三木は意外な言葉を残した。「さすがに、この年齢になると故障も出てくる。それに一番困ったことは、日々のトレーニングや練習、アスリートとして当然のことを毎日続けていくことが辛くなるんです。だから、6連覇ということよりも、私たちの年齢の選手達が競い合える大会があるということが素直に嬉しい。この大会を目標にすることでモチベーションを保つことが出来ている。だから、これからは結果じゃなくて、負けても納得できる練習を積んで来られたのか。そういう過程を大事にしていきたい」と神妙な表情で話す。
毎年のように、50歳を迎える初出場選手が出てくる中、三木自身も彼女たちライバル候補に負けるつもりはない。その自信を持つためにも、日々の努力が必要なのだという言葉がある限り、まだしばらく三木が本選手権の優勝候補であり続けるだろう。
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