1番ホールからスタートして、2、3番といきなり連続ボギーとしたときは「あ、またかなぁ」と思ったと伊藤慎吾(大阪学院大)は言った。「いつも出だしが良くないんですよ」という。雨足が、激しさを増して来た6番(パー5)で残り100ヤード弱から30センチにつける。続く7番(パー4)でもラフから1.5メートル。さらに8番(パー3)で2.5メートルをすべて1パットで沈めて3連続バーディ。実は、激しく降り続ける雨のために、フェアウェイも川のようになって、一時中断となったのは、伊藤が8番ホールにいたときである。
さらに1時間ほどの中断から再開した9番(パー4)でも、1メートルにつけて4連続バーディ。そして、11、12番ともに1.5メートルにつけてバーディとし、6バーディ・2ボギーの68でホールアウトした。
2010年の日本学生で3位。同年関西アマでプレーオフに敗れて2位(2011年も2位)など、ここ数年安定したゴルフができるようになってきた。それは「ショートアイアンの精度を高めようと、練習量を増やしたり工夫したりしたんです。もともとドライアーよりもアイアンが好きですから、精度を高めようとする練習も、全然苦じゃなかったですね」と言った。
確かに、今日のアイアンショットの切れ味は素晴らしくドライバーで多少ラフにかかっても、バーディチャンスにつけていた。
ゴルフを知ったのは、小学校1年生のときだという。そして競技に出始めたのが4年生。ゴルフのほかに「サッカーが好きで、小学3年から6年までやっていました。僕は、きっと競争するのが好きなんですね」と言った。
この1年間ほど兵庫県内の先輩の井関剛義選手や他のアマチュア選手たちとプレーをともにする機会が増えたことで「物凄く勉強になりますし、技量にしても、なんとか追いつきたいと思うようになりました」…その競争心が、イコール向上心につながったとだという。
今回の日本アマの目標は?と聞いたら「いやプロフィールに優勝って書いちゃったんですよ(笑)。大きいこと書きすぎたかな、って、ちょっと反省しているんですけど…でも、やっぱり勝ちたいですし、日本オープンにも出たいですから…」
言葉の影に隠れているけれど、彼の競争心や闘争心、野心は、かなりフォーカスされている。
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