松山英樹のゴルフに、いちだんと幅ができてきた気がする。
 目標は、もちろんメダリストで優勝…。そのための組み立てをしっかりと計算(読める)できるゴルフができていると思うのだ。
 1番ホールからのスタート。まずはパー5のこの1番の3打目を50センチにつけてバーディ。そして6番(パー5)も、1.5メートルにつけてバーディ。さらに10番(パー5)は、6番アイアンで2オンし6メートルを2パットのバーディ。18番のパー5こそ、バーディを取りこぼしたけれど、獲れるホールでは、しっかりと獲る。そして無理をしない。
 彼は、こんなコメントをしていた。
 「まずまずのスタートだと思います。(バーディ以外の)ほか
                              
                             のホールもチャンスはありましたが(パッティングが)入らない中での4アンダーパーは上出来だと思います」
 そして、こう続けた。
 「もう少しバーディをとって、ボギーもあってもいいかな、とも思います」と。どういうこと? と聞き返すと「荒いゴルフもしたかったかな、ということかな。でも、こういうゴルフができてきているのも、自分が成長したのだとも思います」
 予選が36ホールのストローク・プレー。そこで32名以内に残ることが、最優先だ。しかもメダリストを狙うとなると、1つの冒険で流れが悪くなることもある。手堅くバーを、というゴルフと、手堅くバーディを、というゴルフがうまく噛みあわせ、ボギーを叩かないプレーをしていきたい…それは、心のどこかで思い切り発散できない焦慮がある。
 それを18ホール、4時間あまりのゲームで自分をコントロールしながら戦い続けなければならない。
 松山が成長した自分というのは、このことだと思う。
 昨年、メダリストをとりながらベスト16でとどまった悔しさが、彼を成長に導いたのかも知れない。
 7番で、第2打が木の葉に当たった。
 「あれも計算ずみです」と彼はいう。その1打を放つナイスショットとミスショットの想定の幅まで考慮できるゴルフができている。
 「(メダリストと優勝の)想いが強いですから…」
 と松山英樹は、きっぱりと言い切った。
 
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