10番ホールスタートの松山英樹は、3バーディ・1ボギーで折り返し1番ホールへ向かった。
 内容的には、悪くはなかった。後半で、しっかりとプレーできれば…という気持ちがあった。
 1番(パー5)で、30ヤードから1.5メートルに寄せて、難なくバーディを獲った。そして迎えた3番(パー3)で、3番アイアンのティーショットが右手前。3メートルに寄せて悪くともボギーのはずが、3パットでダブルボギーを叩いてしまった。松山の回路がおかしくなったのは、返しの1メートルの距離を外してからだ。
 「意味不明なパットになった」と松山は語った。
 その「意味不明」な感覚がすぐには戻らなかった。脳裏に、その感覚の塊が残
                              
                             ったままプレーが続いた。5番(パー4)で、ティーショットが左に曲がってOB。ここでまたダブルボギーだ。
 ようやく「意味不明」な感覚から戻ったのは7番(パー4)でボギーを叩いたあとである。
 この時点で、この日2オーバーパー。通算で2アンダーパー。その時点での首位は、1つ先輩の富村真治。通算6アンダーパーで首位を走っていた。
 5番のOBは? という質問に「自分のパット(のふがいなさ)にカーっとなって、つい…」というが、このままズルズルと終わらないところが松山らしい。8、9番と連続バーディで締めくくって通算4アンダーパーの5位タイでマッチプレー進出を決めた。
 さて「意味不明なパット」というのは、具体的には、どういうことなのだろう。
 「いや、(今年の)マスターズでもそうだったけれど、打った瞬間に外れるような」感覚になることらしい。
 パッティングのタッチや精神状態は、おそらく一瞬の、隙間に入り込むとりとめのない、思慮分別を欠く虚空の世界なのだろうか。そういえば虚空というのは10のマイナス20乗という小数単位。そんな隙間も、日本アマでの戦いは、許さないのかも知れない。
 
 
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