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競技報告
【伊藤誠道は憧れの先輩の伊藤涼太を下し準々決勝進出】
第3日 競技報告:三田村昌鳳 写真:Gary Kobayashi
伊藤誠道
昨夜、一通のメールが、届いた。
「明日は、先手必勝や。前半でしっかり取っていくといい。あとは、ほどほどにやっていけばいい」というような内容だった。メールを送ったのは谷口徹だった。受け取ったのは、伊藤誠道である。
1回戦は、その作戦で行った。
「でも、本当にきつい戦いだったんです。ほんの少しのきっかけで、いくらでも流れが変わる相手ですから」
相手は、ベテランの豊島豊だ。
出だしの1番で、伊藤が1upした。
「僕にとってラッキーだったのは、2番、3番と豊島さんがボギーを叩き、そこで3upまでできたことですね」さらに伊藤は4番も獲って4up。それでも、豊島は諦めるはずがない。7、10番と
伊藤涼太
獲って2upまで迫ったが、13番、そして勝負を決めた15番と伊藤が取り返して4and3で1回戦を終えた。

2回戦は、伊藤涼太との対戦だ。
予選通過を果たした時点で「たぶん、1回戦か2回戦で涼太さんと対戦する…うーん、嫌だなぁ」と誠道は呟いていた。憧れの先輩。
「涼太さんが、中学生時代にプロ競技に出場するなど道を切り拓いてくれたので、いまの僕たちがあると思うのです。それに(高井戸)ハイランド(内藤雄士コーチの練習場)で一緒に練習して、…教わっているので、はしゃいで喜べないけど、素直にうれしい」
その誠道と涼太の戦い。誠道は、こう振り返る。
「(勝負の流れの)天秤は、平らなままでずっと進んでいたと思います。敢えていえば、僕のほうがコースに(涼太に比べて)少し勝てただけ(が勝因)だと思います」
2番で涼太が獲って1up。すかさず4、5番と誠道が取り返し逆に誠道の1up。さらに8、9番と涼太が獲り、前半終えて、涼太1upで後半に向かった
「涼太さんはアプローチの天才。2番のグリーン奥から入れてくるし、やばいな、と思った。3番は涼太さんが先にパーで、僕は5メートルのパーパットで、外したら(流れを)持っていかれる、と思って入れた。4番は涼太さんがバンカーショットをミスして、斜面だったんですけど12ヤードの距離をピン抜かせて、(ボールが)カップをUターンして、どうなっちゃうんだろう、と思った。そして5番で涼太さんが3パットして…」
涼太が振り返る。
「ショットは、誠道の(グリーンに乗せた)内側に持っていけましたし、内容的には良かったんです。久しぶりにまともなゴルフができました」
伊藤涼太は、ここ数年体の故障(股関節まわりなど)に悩んでいた。それにドライバーが絶不調だった。2009年の日本アマではドライバーを1回も使わずにベスト16まで行った経緯がある。それが「ようやく体の故障もよくなり、ドライバーもよくなって、ゴルフがまともになってきたところまで漕ぎ着けたんです」
昨年の11~今年の1月まではタイへ渡り、さらに2~5月中旬までは渡米して「20試合以上」戦ってきた。本人の言葉を借りれば「(ここにきて)ようやく80台のゴルフから70台のゴルフができるようになった」と言うのである。
その苦悩も努力も才能も凄くよく知っているのも、誠道である。
だから油断は許されない。
「ですから2回戦は、集中しすぎて、疲れました。この数年で、ゴルフを始めて一番一打に集中したと思います。(日本アマでの)マッチプレーは4年目ですけど、一番しんどかった。最後のほうは2人ともしゃべらなかった。集中して、風や雨の音も入ってこなかった。風がどっちから吹いているかもわからなかった」
伊藤涼太は、自分で敗因は「パッティングですね。10ホール以上、バーディチャンスがあったのに…」と悔しがる。それでも、「なんか悔しいけれど、僕なりにここまでゴルフの内容がよくなってきているということでは、どこかで清々しいんですよ」と語った。
「16番で涼太さんが左のバンカーに入れて、ボギーで1upとしたが、気が楽に思えなかった。17番は涼太さんがティーショットを右に落として、僕は珍しくフェアウェイだったんですけど、行ったらディボットの真ん中で、何とか乗せて(パー)、涼太さんはグリーン手前30ヤードのところまで持ってきて、アプローチを寄せたけど外して(ボギー)、終わったという感じです」
結局、15番でオールスクウェア。勝敗を決めたのは、16、17番と誠道が2upしたことだった。
マッチを終えて、クラブハウスへ戻る送迎車の中で、ふたりはこんな会話をしたという。
「終わって、ありがとう、といって、バスの中で反省して第一声が、もっと練習しよう、でした。涼太さんは、ドライバーがまだまだ、といっていました」
伊藤誠道のゴルフの強さは、ゲームの流れが読めることと、自分を信じきれることだと思う。それを支えに準々決勝へと戦いが進む。

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