ゴルフは恐ろしいスポーツだ。今日出来たことが明日も同じように出来るとは限らない。ましては、ほんの1時間前まで「完璧」だったものが、突如として「全く駄目」にもなる。
この恐ろしさを身をもって知ったのが小袋秀人に準決勝で惜敗した香妻陣一朗。
「目標だった」というベスト8入りを果たし、優勝に向かって4日目に臨んだ香妻。準々決勝の対戦相手は、昨年JGAナショナルチームメンバーとして活躍した田村光正。この準々決勝、香妻は、6バーディを奪う快進撃で2and1で勝利を収める。田村いわく、「完璧なパッティングだった」という通り、香妻本人も「思い通りに入ってくれた」と自信を深めた。決勝進出を賭けた準決勝
。その相手は、準々決勝で伊藤誠道を1upで下した小袋秀人。香妻同様、小袋も準々決勝で5バーディ・ノーボギーの完璧なプレーで勝利を収めただけに、JGAナショナルチームメンバー同士の戦いは、熾烈を極めるかと思われた。
しかし、香妻は、準々決勝であれだけ決まっていたパットが嘘だったかのように、グリーン上で苦悩した。「パットが酷かった。打ち方も完璧だったのに、なぜか決まらなくて」と、前半から小袋にリードを奪われる。6番を終えて小袋に3upの差をつけられたときには、「前半で無理かと…いけるところまで、頑張りぬこう」と、必死のプレーを続けるが、好調な小袋は香妻に付け入る隙を与えてくれない。3upのリードを許しまま迎えた12番。香妻より遠い位置からのパットを外した小袋に対して、2.5メートルのパットを決めれば、香妻がこのホールを奪うチャンスを迎えたが、「ホールにかすりもしなかった」というパッティングで、「もう…厳しいかと…」と心が折れてしまった。
香妻は、目標のベスト8入りは達成し、「ホッとしたけれど、もっと上にいきたかったし、調子も良かったので、いけるかと思った」と、話す。「今日の敗戦は悔いが残るというか…残念です」敗戦を受け入れなければならない現実に戸惑いながら、自分の不甲斐なさに肩を落としていた。
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