権藤可恋(福岡第一高校2年)と日本ジュニアゴルフ選手権競技との相性は良好であるようだ。昨年は7アンダーパーの66(パー73)で飛び出した。自己ベストを大幅に更新する会心のスコアだった。今年は5アンダーパーの67。2大会続けての首位発進である。
「でも、1日だけじゃダメなんですよね」と権藤は自分に改めて言い聞かせるように話した。昨年は第2ラウンドに78と大崩れして、7位タイで大会を終えた。気持ちばかりが先走って空回りする。権藤の自己分析だった。好スタートを切ると攻撃的になりすぎるきらいもあった。
今大会も付き添いにきてくれている父親と、そのあたりのことも話し合った。「そんなにとんがっ
たゴルフをすることはない。自分のゴルフの基準を2バーディ・1ボギーにおけばいい。それよりもいいスコアが出ても、次の日にはまたそこ(2バーディ・1ボギー)に戻る。攻めよりも、確実なゴルフが持ち味だろう。父には、そう言われました。自分でも、そう思いました」
第1ラウンドは5バーディでボギーはゼロ。権藤が自分に及第点をつけたのは、ボギーなしのラウンドであったところだった。ピンチは、いきなりやってきた。スタートの1番パー4ホールのティーショットは右ラフ。第2打はグリーン左にはずれ、アプローチショットも奥のカラーまで転がってしまった。そこからパターでカップに沈めてのパーセーブで落ち着いた。
高校2年生になって目標にしてきたことがある。それは、日本女子アマチュアゴルフ選手権競技で連覇を果たした比嘉真美子が、昨年大会で語った言葉だった。「100ヤード以内のショットの精度を高めないとゴルフが荒削りになる。粘りのゴルフとスコアメイクのカギはショートパットの確実性にある。比嘉さんは、そんなコメントを出していました。そのまま自分の課題にさせてもらいました」
集中練習ができる夏休みも、100ヤード以内のショットを重点的に。ラウンドでもそれを心掛けているうちにグリーンに近づくほど集中力が増してくるようになったという。そしてラウンド後にはショートパットの練習を繰り返す。
「これも比嘉さんのコメントですけど“あれだけ練習したんだからはずすわけがない、と自分で思えるまで練習する”。それを実践してきたつもりです」。
この日の5バーディのうち3個までは100ヤード以内のショットをチャンスに結び付けていた。そして、5つのバーディはすべて3メートルから30センチ以内のパットを沈めたもの。解放と集中。それによって発揮される技術。権藤は、確実に進化している。明日以降も、昨年のテツを踏むことはあるまい。
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