目標は2桁アンダーパー(で優勝)―。7アンダーパーからスタートした鬼頭桜(美濃加茂高校3年)は、その1点を見据えていた。3番で2.5メートルの難しい下りフックラインを読み切った。ゆっくりと転がったボールは、カップ中央から沈んだ。5番(パー5)はバンカー手前からのアプローチショットを2メートルに寄せ、これも確実に決めた。安定した内容で通算9アンダーパー。目標の2桁アンダーパーは目前だった。
後半で気をつけるべきは12番ホール。第1ラウンド、第2ラウンドと続けてドライバーショットを引っかけてトラブルに見舞われている。「あそこをスッと通過すれば、後半も2アンダーパーは出せる…なんて余計なことを
考えてしまったんですよね」。
この日は、その前に想定外のトラブルが待ち受けていた。11番(パー4)だった。左ラフからの第2打が、フライヤーとなってグリーンを大きく越え、林の奥に飛び込んでいった。木が邪魔になってグリーンを狙えない。ダブルボギー。これで、前半の貯金を吐き出してしまった。
同じ最終組で鬼頭に1ストローク遅れてスタートしていた永峰咲希(宮崎日大高校2年)は、11番まで2バーディ・2ボギーでスタート時点のまま6アンダーパーをキープしていた。鬼頭のダブルボギーで両者の差もスタート時点に戻る格好になった。
鬼頭は、ここで気持ちを切り替える。「このダボを取り返そう。自分のプレーに集中しよう」。15番で2.5メートル、16番では1.5メートルのチャンスを決められず、取り返しは果たせなかったが、ひたすらパーを刻み続けて逃げ切った。
「日本女子アマでベスト8に終わってしまった。あと日本の冠がつくタイトルといえば、この日本ジュニアとその後の日本女子オープンだけ。だから、そのふたつのタイトル(日本女子オープンはローアマチュアが目標)をとって高校ゴルフの集大成にすると決めていました。もうひとつの目標であった2桁アンダーパーには届きませんでしたが、狙って勝てたことで満足です。すっごくうれしい優勝です」。
鬼頭は、この後、プロのトーナメント2試合にアマチュアとして出場したあと日本女子オープンに臨む。表彰式で優勝カップを手に「今回は、これを手にできたので、次の目標達成に気持ちを切り替えます。このカップをいただいて、ますますその思いが強くなりました」。
鬼頭にとっては、最後の日本ジュニアゴルフ選手権競技を優勝で締めくくり、これでジュニアを卒業していくことになる。さらなる飛躍を期待しよう。
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