2010年大会の第1ラウンド。66をマークして単独首位に立ったのが伊藤慎吾(大阪学院大学3年)。そのときには、第2、第3ラウンドにスコアを落とし3位に終わっている。その悔しさを胸に、本大会に臨んだ伊藤は第1ラウンドで5アンダーパーの67をマーク。首位と1打差の2位タイとリベンジに向けて好発進を決めた。
10番ホールからスタートの伊藤は、12番でバーディが先行すると18番(パー5)もグリーン奥9メートルから確実に2パットで前半を2アンダーパーで終える。後半も好調なプレーは続き、1番で4メートル、2番では3パットのミスで唯一のボギーを叩いたものの、5番で80ヤードのセカンドショットを1メート
ル、8番も1.5メートルにつけてスコアを伸ばす。圧巻は最終9番。セカンドショットは残り150ヤード。9番アイアンで放ったショットは、あわやチップインイーグルというスーバーショットでバーディフィニッシュとなった。しかし、好スタートにも伊藤の表情は厳しい。「ティーショットは良かったですけど、アイアンショットが…。パーをしぶとく拾えて、チャンスをものに出来たけれど」という。
2010年大会のリベンジに期待がかかるが、伊藤本人は「今年は、そんなに入れ込まないように。優勝を狙うというよりは、1日のプレーの中でボギーを打たないように。それを第一に考えている」という。肩透かしをされたような気持ちにもなるが、そこに伊藤の成長が見て取れる。「先週の関西オープンで宮里聖志プロと平塚哲二プロと一緒の組でプレーしました。その2人のプレーを間近に見て、スコアを伸ばすことよりも、いかにボギーを打たないかというマネジメントが徹底されていたのが印象に残っていて。今日の自分も平塚プロなら、ここはどうやってプレーするかな…って考えながらプレーをしていたんです」と、トッププロのプレーを見て、自らとの違いを感じ、すぐに実践してみせた。「あと3日間、ボギーを打たないプレーが出来れば…」その先の言葉は飲み込んだが、聞かずとも後に続く言葉はわかっている。
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